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YOMIURI ONLINE(2008年2月 5日 付)

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 東大教養学部の学生が先月28日、駒場キャンパス(東京都目黒区)で、舞台で理科実験を行う高校生向けのサイエンスショーに挑戦した。科学を社会に広めるには、どのような表現や工夫が必要かを、実体験で学ぶ授業だ。

 テーマは「空気は見えるか」。「心を動かす表現法―科学メディア・理科実験の研究」のゼミに参加する1、2年生中心の10人が、教授役、実験の指導を受ける研究員役、高校生役に分かれ、空気や気圧の仕組みを学んでいく形で進んだ。

 「大きな風船と小さな風船を前に投げると、どちらが遠くに届くのか」。教授役の学生が客席に問いかける。観客の多くは「小さい方」と予想。白衣を着た研究員役の学生が実際に風船を投げると、大きい風船の方が遠くへ届いた。

 「風船の届く距離は、空気抵抗以外の要因も関係するようだ」。空気を液体窒素で冷やして液体にしたり、空気の詰まったペットボトルをてんびんでつるしたりする実験で、空気に重さがあることを実感させ、大きな風船ほど空気の重さで遠くへ飛ぶ仕組みを説明する。約1時間のショーで、15の実験が披露された。

 ゼミを指導するのは科学教育の普及に努めるNPO法人「ガリレオ工房」理事長の滝川洋二氏と、林衛・東大客員准教授。滝川氏は2年前、高校教員から東大教養学部教養教育開発機構の客員教授に転身し、科学への興味を持たせる教育を研究している。

 サイエンスショーは、学生たちが半年間の研究の集大成として自ら提案した。

 子供たちの前で多くの実験を行ってきた滝川教授は「学生が舞台をやるのは大変だと予想していた」が、学生達は滝川教授の実験をベースにしつつ、高校生の興味を引くような脚本作りや、高校生レベルで必要な知識、実験の進行などを研究した。舞台から遠い席でも空気の重さの違いがわかるてんびんを作る作業に、学生1人が8時間を費やすなど、授業の時間以外でも実験装置や表現の工夫を重ねた。

 ショーの終盤では環境問題を取り上げ、大気中に二酸化炭素が増えて地球が温暖化していく仕組みを解説。大気中の二酸化炭素の濃度を「高度1万メートルまでの大気で地表に二酸化炭素がたまると、3・8メートルの高さになる」などの表現も独自に編み出した。

 滝川教授は「言葉をわかりやすくするだけでは不十分で、相手が『理解したい』と思うような疑問を提示することが大事。人間の知識や認識が、外からの情報でどう変わっていくのかを知ることも必要だ。学生たちは科学を伝える難しさを実感したと思う」と話す。

 また、「科学技術の安全性など市民が考えるべき問題も増えている。専門家と市民の橋渡しをする人材の育成が必要で、東大の教養学部が取り組む意義は大きい」としている。(宮崎敦)

コメント:

大学生が高校生の視点で科学の面白さを伝えるというのは非常に面白い取り組みですね。