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Yomiuri ONLINE(2008年3月 7日 付)

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 川崎市立東小倉小学校の理科授業で先月、液体窒素を使った実験が行われ、児童の目の前で氷点下196度の世界が繰り広げられた。同市青少年科学館(多摩区)とタイアップした授業。学習指導要領では範囲外の超低温だが、理科離れが叫ばれる中、2009年度から導入予定の新学習指導要領で、実験が重視されるのを先取りした形。同校では「子どもたちの関心を引きつけるためのきっかけにしたい」と今後も斬新な実験を登場させる計画だ。(住友堅一)

 液体窒素は2月22日、元中学理科教諭で同科学館の成川秀幸指導主事が、同小2階の理科室に持ち込んだ。同科学館は04年度から、成川さんら教諭OBらを市内小学校などに派遣し、児童の興味関心を引きつける実験を出前授業している。

 成川さんは、4年2組の児童27人を前に、液体窒素を入れたガラス容器にカーネーションの花を入れて凍らせ、手で握ってバラバラにしたり、豆電球につないだ電池を入れて点灯しなくなる様子を見せたりし、「時限爆弾を凍らせれば電池が動かなくなる」と、液体窒素の性質を説明した。

 一番の見せ場はドライアイスの実験。成川さんがビニールの傘袋にスプレー缶の二酸化炭素を吹き込み、白く曇った袋を液体窒素の中に入れると、袋の底にドライアイスの白い粉末がたまった。さらに、この粉末を空のフィルムケースに入れ、フタを閉めると、数秒後、元通りに気化して、「ポン」と大きな音とともにフタが飛んだ。

 「フィルムケースは簡単にフタが外れるが、ペットボトルなど密閉容器にドライアイスを入れると爆発する」と注意を与えた。

 実感と説得力をもって児童に科学を理解させ、理科好きにさせようと随所に工夫が凝らされている。

 阿部厚教頭は「学習指導要領の範囲内では、実験内容は水蒸気から水、氷へと変化するマイナス10度程度までで、子供には地味。液体窒素は凍傷などの危険があり、通常の授業では使えないが、驚きや実感を伴って子供が理解できる効果は高い」と話す。

 理科教育の現場では、「ゆとり教育」の下で、授業時間数が減り、実験が減ったことへの危機感がある。09年度から実施予定の改定学習指導要領では、実験や自然観察が見直され、それらの充実が盛り込まれた。

 ただ、全教科を1人の教諭が教える小学校では、実験に苦手意識を持つ教諭も多く、アイデアや実験器材も不足がち。県教委では「新学習指導要領の導入を前に、県内でも実験に対する先生の意識は高まっている」としており、児童の関心を高め、教諭にとっても勉強になる外部の研究機関や企業などからの講師派遣を積極的に活用するよう呼びかけている。

 同小は、川崎市が05年度から「理数大好きモデル地域」として選んだ市内8小学校の一つ。同市総合教育センターの上杉岳啓指導主事は「最先端のハイテク製品に囲まれた現代っ子は、かつての電池と豆電球だけの実験では満足しない」と工夫の必要性を強調する。

 同市立の全115校では新年度、東京電力など民間企業の研究者を各1回、特別講師として招き、実験などを指導してもらう特別講師派遣事業を開始する。

コメント:

実験はやっぱり楽しいです。教諭OBの話は興味深いですね