理系系ニュースで「小中学校」と一致するもの

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神戸新聞(2008年2月15日 付)

記事:

 文部科学省は15日、主要教科を中心に、授業時間数と学習内容を約30年ぶりに増やした小中学校などの学習指導要領改定案を発表した。1998年改定の現行指導要領で授業時間数、学習内容を減らして学力低下批判を受けた「ゆとり教育」路線を軌道修正した。

 焦点だった道徳は指導の充実を盛り込んだが、政府の教育再生会議が求めた教科化は見送った。各教科を通じて言語活動と伝統・文化の指導を重視、小学校で外国語活動を必修とした。学校週5日制は維持した。

 意見公募を経て3月末に告示する。小学校は2011年度、中学校は12年度に完全実施するが、09年度から移行措置期間に入り、算数・数学、理科の一部や道徳などを先行実施する。

 「基礎知識の習得が不十分」との中教審答申を受け、主要教科の授業時間数全体を約1割増やす一方で、現行指導要領で導入した「総合的な学習の時間」を削減、中学校の選択教科も廃止した。

 文科省は「授業時間数の増加ほど内容は増やしていない」と詰め込み教育への回帰を否定しているが、指導内容は小学国語が現行78項目から131項目に、算数が126項目から181項目になるなど、小中学校いずれも増加した。

コメント:

やることはいいですが、本当に遅いですね・・。


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京都新聞(2008年2月12日 付)

記事:

同事業は、子どもたちの理系科目離れが指摘される中、科学への興味関心を養う授業法や指導技術を研究してもらおうと、文部科学省所管の科学技術振興機構が全国各地の自治体を指定している。亀岡市教委は市内8小と2中をモデル校とし、高校や大学、企業と連携した学習の在り方などを研究してきた。

大会には、府内のほか、滋賀や石川、新潟などから小中学校教諭や教委職員ら約85人が参加。モデル校を代表して5つの小中学校の教諭と、連携授業を進めた亀岡高や市教育研究所の担当者が事例発表した。

大井小の教諭は、近隣の千代川小と大成中と合同で夏休みに開いた天体観望会の成果などを報告。「教諭の交流で指導のノウハウが共有できたほか、各校のPTAや地域住民とも連携でき、地域全体で理数が好きな子を育てる環境が生まれた」と紹介した。

コメント:

こういったノウハウを共有できる場があると良いですね


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YomiuriOnline(2008年1月15日 付)

記事:

昨年10月、イギリスの高等裁判所がゴア元副大統領出演の「不都合な真実」の内容に対し「9カ所の部分で科学的根拠が乏しい」と注意を促す判決を出し、波紋を呼んでいる。映画「不都合な真実」といえばゴア氏がノーベル平和賞を受賞するきっかけを作り、各国の環境政策に多大な影響を与えた作品だ。今回のNMRは人類最大の難問とされている環境問題について考えてみたいと思う。

アメリカ合衆国元副大統領アル・ゴア氏が、ドキュメンタリー映画「不都合な真実」の出演により地球環境に多大なる影響を与えた個人として昨年12月、ノーベル平和賞を受賞したことは記憶に新しい。二酸化炭素の排出により進行する温暖化が地球に多大なる影響を与えると警告を鳴らす映画「不都合な真実」。しかし、この映画「不都合な真実」の内容自体に不都合が生じているのだ!

事の発端は、イギリス教育機関が公立の小中学校に教材として映画「不都合な真実」を配布しようとしたところ、生徒の親が「作品の内容に科学的にウソがある」と訴えを起こす。そして、その訴えに対し英高等法院は9つの科学的な間違いを指摘した上で教材として利用する場合、部分、部分に注釈を与えるよう指示を出したのだ。

今回のこの騒動で注目すべき点について専門家の意見を聞いてみた。

「一つは環境にうるさいEUの加盟国が出した判決だということ。もう一つはこの判決により環境問題は様々な方向から議論してかなければいけない問題だと分かったことが大きい。映画『不都合な真実』が科学的に根拠の乏しい映画だということは多くの専門家の間で知られていたこと。ただ、環境に対する問題意識を喚起する上では非常に優れた映画ともいえる。しかし作品に出てくる科学的データまで"真実"として扱われると、新たな危機が生まれてしまうのです」

そもそも、地球環境とは非常に複雑な構造の上に成り立っており「地球温暖化→南極・北極の氷が解ける→海面が上昇」というような単純な構図で解説することは不可能だという。よって映画「不都合な真実」が近い未来に必ず起こる真実として世の中に広まることに科学者たちは危機感を募らせ始めたというわけだ。

「一番の問題はあの映画の存在が巨悪を隠すということです。現在、日本でもゴミを分別したり、省エネに対する取り組みが盛んに行われていますが、実は世帯単位でいくら頑張っても環境に対する貢献は極々わずか。問題は車の排気ガスと工場プラントからの工業廃棄物。この二つに対する制限を強化するだけで排出ガスの問題はほぼ解決に近づきます。早い話、ゴミを分別するのではなく、ゴミを出さないようにしなければ意味がなく、個人ではなく政治の問題なのです」

個人がいくら頑張っても地球環境はよくならない...あまりに乱暴な専門家の意見に一瞬耳を疑ったが、実はこの意見こそ科学者たちの間ではごく一般的な共通認識とされている。

「なぜ、石油製品が減らないのか?ガソリン車が減らないのか?世界の産業構造そのものが環境を破壊しているのです。それを変えないと地球は救えません」

映画「不都合な真実」は私たちに環境危機の認識を与えた。しかし、認識するだけでは何ら解決に繋がらない。

「不都合な真実」に付きまとう不都合...それは、すべきことがわかっていながら手を出せない正義のジレンマなのだろう。

◎英高等法院が注意を促した映画「不都合な真実」の不都合な箇所

(1) 西南極とグリーンランド(の氷床)が融解することにより、"近い将来"海水準が最大20フィート上昇する。
英高等法院判決:これは明らかに人騒がせである。グリーンランド(氷床)が融解すれば、これに相当する量の水が放出されるが、それは1000年以上先のことである。

(2) 南太平洋にある標高の低いさんご島は、人為的な温暖化によって浸水しつつある。
英高等法院判決:その証拠はない。

(3) 地球温暖化が海洋コンベアを停止させる。
英高等法院判決:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によれば、混合循環として知られるこの海洋コンベアは、鈍化することはあっても、将来停止することは可能性はかなり低い。

(4) 過去65万年間の二酸化炭素(濃度)の上昇と気温上昇の二つが正確に一致している。
英高等法院判決:この関係性については、確かにおよその科学的合意が得られているが確立されたものではない。

(5) キリマンジャロ山の雪が消失していることには、地球温暖化が明確に関連している。
英高等法院判決:キリマンジャロ山の雪の減少が主として人為的な気候変動に起因するとは確立されていない。

(6) チャド湖が乾上ったという現象は、地球温暖化が環境を破壊する一番の証拠。
英高等法院判決:この現象が地球温暖化に起因すると確立するには不十分。それ以外の要因、人口増加、局地的な気候の多様性なども考慮すべき。

(7) 多発するハリケーンは地球温暖化が原因である。
英高等法院判決:そう示すには証拠が不十分である

(8) 氷を探して泳いだためにホッキョクグマが溺死した。
英高等法院判決:学術研究では「嵐」のために溺れ死んだ4匹のホッキョクグマが最近発見されたことのみが知られている。

(9) 世界中のサンゴ礁が地球温暖化やほかの要因によって白化しつつある。
英高等法院判決:IPCCのレポートでは、サンゴ礁は適応できる可能性もある。

コメント:

不都合な真実は見ましたが、かなり恣意的なものも感じました。ただ、ノーベル平和賞をゴアが受賞した理由もそれなりに評価されるべきと思います。


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Yomiuri Online(2008年1月11日 付)

記事:

学校教諭を退職した人らが地元の小学生の冬休みの宿題を手伝う「太田学びぃ教室」が9、10の2日間、大仙市の太田公民館で開かれた。太田地区の小学1~6年生約70人が宿題に取り組み、9日は15人、10日は12人の元教諭らが「先生」として勉強を指導した。

公民館の図書室で、子供たちが机に向かい黙々と漢字の練習や割り算の練習問題に取り組む。「先生」たちがその脇を通り、時折、声をかける。

「努力の字が違うよ。調べてごらん」と「先生」に言われた市立太田東小5年の小松結花さん(11)はすぐに間違えた漢字を消しゴムで消し、テキストをめくった。

小松さんは「わからない時にすぐに教えてもらえたり、違っているところを示してくれるから勉強がしやすい」と話す。9日には冬休みの課題になっている冊子を6ページこなした。

太田学びぃ教室は、春、夏、冬の長期休暇に開催。元小中学校教諭で、同公民館社会教育指導員の草ナギ稔さん(71)が旧太田町(大仙市)に「地域の子供は地域で育てよう」と提案し、2005年8月から始まった。小中学校の元教諭や読み聞かせボランティア、旧町職員など18人が指導者として登録している。

国語や算数、理科、社会のほか、作文や書道なども教える。太田地区の小学校に申込用紙を配布し、勉強したい科目などを記入してもらい、学年や希望の多い教科に応じてボランティアの「先生」をそろえている。

開講当初から参加している元中学校教諭宇野八重子さん(78)は「子供たちは一生懸命勉強していて出来ると笑顔を見せる。とても楽しい」と言う。元幼稚園教諭の高橋勝子さん(66)も「幼児から小学生の時期は人格形成の上でも大事。少しでも経験が生かせれば」と話す。

県教育庁生涯学習課によると、教員OBを活用した勉強会は県内各地で行われ、秋田市では放課後に勉強を教え、仙北市では大仙市と同様の勉強会を開いているという。

草ナギさんは「先生を増やし、出来る限り個別指導に近づけたい。『よく出来たね』とほめてあげるだけで子供たちのやる気につながる。学力向上の一助になれば」と話している。

コメント:

OBの教員や技術者の有効活用という点では面白いですね。(ボランティアですが・・。)


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SANSUPO.COM(2008年1月 8日 付)

記事:

東北の科学に関する話題を分かりやすく取り上げた雑誌「テクノクロップス」の発売が仙台市の書店で始まった。新製品や大学研究者の横顔、子ども向け施設...。写真を多用、全ページがカラーの親しみやすい内容で、東北発の科学や企業の魅力を伝えている。

仙台に事務局がある特定非営利活動法人(NPO法人)「科学協力学際センター」(代表理事・川添良幸東北大金属材料研究所教授)が編集。昨年11月に創刊、小中学校や科学館、病院や銀行などに無料配布して好評だったため、書店販売を始めた。

最新の第3号では、過去に三陸地方などを襲った津波を今村文彦東北大教授が解説した。

地元の海水にこだわって塩をつくる秋田の企業組合男鹿半島振興会や、廃食油からつくる燃料で幼稚園のバスを動かす山形の「かねやま新エネルギー実践研究会」なども紹介。福島県いわき市の環境水族館「アクアマリンふくしま」の大水槽に先端技術が結集していることも取り上げた。

川添代表理事は「東北の各地で科学をベースに頑張っている人がこんなにいるよと若い人に伝えたい。大学生らの地元定着の一助にもなれば」と話し、年4回の発行を目指している。

A5判で36ページ、480円。問い合わせはセンターの事務局、電話022(261)9481。

コメント:

大人の科学など最近こういった雑誌が増えてうれしいですね。是非続けていって欲しいものです。また、東北地方限定ということですが、是非見てみたいですね。


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教育マルチメディア新聞(2008年1月 1日 付)

記事:

平成23年度から施行される新学習指導要領の審議のまとめが11月9日公表された。「審議まとめ」は、次代を担う子どもたちの主要能力(キー・コンピテンシー)「生きる力」をはぐくむことを目的とし、外国語活動や古典学習、言語活動などあらゆる視点から「生きる力をはぐくむ」教育実現に向けた方策が考えられている。

また、知識の習得、活用は主として「教科」で担い、探究は主として「総合的な学習の時間」で担うという各教科と総合的な学習の時間との役割分担が明確になり、「総合」と「各教科」の連携が図りやすくなった。教育課程部会では引き続き審議を進め、1月中に中教審として答申を取りまとめ、小・中学校については今年度内の改訂を目指すこととしている。

なお渡海文部科学大臣は「平成23年度以前に先行して実施できるものについては、平成21年度からは「移行措置」に入ることを踏まえ、平成21年度から実施したい」旨述べている。文部科学省では、平成20年度に新しい学習指導要領について十分な周知を集中的に図った上で、平成21年度から「移行措置」に入ることが検討されている。特に今回の改訂では授業時数や教育内容を増加する教科があり、「移行措置」期間中に必要に応じ内容を追加して指導することを検討する必要があるとしている。

今回の『生きる力』は深化している
中教審委員・角田元良氏(聖徳大学)
今回の『生きる力』は深化している。

今回の「審議まとめ」では、「生きる力」を子どもに身に付けさせるにはどんな能力をどのように付けるか、その方策が明らかになってきている。

OECDなどの国際的な研究成果からも、習得した知識を活用して主要な能力(キー・コンピテンシー)である思考力・判断力・表現力を身に付け探究させることが『生きる力』の育成につながる、と理論的に裏付けられた。表現力・コミュニケーション能力は、国語科を中核としながらも、全ての教科で養うべき能力であることが明示された。

今回の「審議のまとめ」で、もう一つ注目すべき点は、条件整備をきちんと求めている点。このことは、教師が子どもと向き合う時間を確保し、どの子にも、きめ細かな指導をするための必要条件であり、「生きる力の共有」を担保するものでもある。

国と、設置者である地方自治体の首長や人事権を持つ教育委員会等は、これを重く受け止め反映するとともに、税金を納めている我々国民も、その成り行きを厳しく監視し、その結果を検証していかなければいけない。

審議まとめパブリックコメント1140件
「生きる力」はぐくむ「理念」評価 
新教科「科学と人間生活」

中央教育審議会では「教育課程部会における審議のまとめ」を公表、パブリックコメントを募集した。コメントは郵便、FAX、電子メールなどを含め、1140件寄せられた。うち898件が電子メールによるもの。また、教職員からは約6割弱にあたる655件の意見・コメントが寄せられた。

パブリックコメントの内容について、文部科学省教育課程部会の報告によると、学習指導要領改訂の基本的な考え方(「生きる力」をはぐくむという理念の継承等)については、賛成の意見が多かった。また、教員からは、現行の学習指導要領で理念が実現しなかった原因について様々な見解が指摘された。

理数や国語等の授業時数の増加については、賛成との意見のほか、単に授業時数を増やすだけではただちに学力向上にはつながらず、教育内容や指導方法の改善・充実、条件整備が必要との指摘があった。

総合的な学習の時間については、時数を縮減しつつ内容の充実を図るべき、廃止することも一方策、成果を見極めるべき、現行の授業時数を維持すべきなど様々な意見があったが、特に条件整備の必要性の指摘が多かった。

中学校の選択教科については、廃止すべきとの意見と総合的な学習の時間の一部を学校の判断で充てることを可能にすべきとの意見の双方があった。

小学校における外国語活動(仮称)の導入については、条件整備の必要性を指摘しつつ賛成する意見が多かった。

高等学校の必履修科目の在り方については、地理歴史及び理科において、様々な立場からの意見があった。また、理科の新科目「科学と人間生活」に対する期待を指摘する意見が出された。

道徳教育の教育課程上の在り方については、教科化すべきとの意見、現行の位置づけを前提に地に足のついた取組みを進める必要があるとの意見、社会がきちんと模範を示す必要があるとの意見があった。

―― コメントから
「日本はもっと科学力を強化する必要があるにもかかわらず一般の興味は離れていく一方。そこで、『科学と人間生活』は今の時代最も必要な科目。国際問題(宇宙、石油、エネルギー)、国内問題(防衛、経済)などのニュースを中心に、基礎教科とはまた違った角度で世の中を見るようなものにすべき」

「教科学習の授業時数を増加させるとしているが、必要性を唱えるだけでは実効性あるものにはならず、授業時数だけが増えてますます子どもたちの『ゆとり』は奪われることになる。課題追究型の学習にとって、それを支える体制作りが不可欠であり、単に授業時数を増やすのではなく、30人以下学級の実現等の条件整備を優先すべき」

「小中学校の教諭の残業が増加しており、子どもたちの指導に直接かかわる業務以外の業務に多くの時間が割かれている実態が明らかになっている。今現場に必要なのは、真にゆとりがあって、子どもたちが楽しく学べる環境。教職員にゆとりがなければ、どんな素晴らしい提言も意味がない」

「根本的な入試(卒業)制度の改革がなければ、学校教育の質も、保護者の意識も、企業の採用方針も旧態然とした状況を変えることは困難」

IICT環境整備で事務効率化を
経団連が意見書
育投資効果訴え

社団法人日本経済団体連合会教育問題委員会は12月5日、教育課程部会における審議のまとめに対するコメントを中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会へ提出した。

それによると、「教育現場が、子どもたちの理解や地域や保護者の期待を踏まえた授業の質の向上に取り組むためには、学校や教員の創意工夫を促す環境整備が不可欠」「人事、予算、学級編成、教育課程の編成などに関する学校(校長)、市区町村教育委員会の権限を拡大すべき」であるとし、「国・教育委員会は、教育現場が抱える問題を専門的見地から助言・支援するとともに、教員の指導力や校長のマネジメント力向上に向けた研修、先進的な教育実践の普及などの取り組みを強化すべき」と述べている。

また、「教育投資の拡大については、教育界がその質の向上や予算執行の効率化に最大限の努力を傾けることが大前提」とし、「教員一人当たりの年間授業時数は主要先進国に比して少ないにもかかわらず、子どもたちと向き合う時間の確保が難しい」現状から、「事務処理にかかわる教員の業務軽減、ICT環境整備による事務効率化、外部専門家の活用などを進め、教員の指導力や授業の質の向上への努力を支援」が重要としている。

各論については「『ものづくり』については、理科、算数(数学)との関係も切り離すことができない」「ものづくりの土台となる理科、算数(数学)と連携した教育の推進」の記述を追加すべき」「ICTに関しては、『活用』を中心に述べられているが、『インターネットの仕組み等を分かりやすく教えることが、ICTに対する興味・関心を深めることや、ICTの光と影を理解させるために重要』である旨を記述すべき」としている。

教育条件の整備」に反響
教師が子どもと向き合う時間」確保のために

新学習指導要領には多くの課題が盛り込まれている。「審議まとめ」には、「教師が子どもたちと向き合う時間を確保」するために、教職員配置、設備、教科書・教材、ICT環境の整備も含めた学校の施設など「教育条件の整備」が必要、としている。各関連団体からは「教育条件の整備」について期待が込められたコメントが多くあった。

◇   ◇

▽全国公立学校教頭会「今回よい方向に舵を切ったと思うが、この方向を推進するためには、教員数の増などの条件整備が不可欠」

▽全国公立小中学校事務職員研究会「教育条件の整備が重要であることが盛り込まれたことは画期的。学校マネジメント機能の強化のための事務職員の定数改善、学校での内部委任等の事務処理体制の強化、武道の必修化にともなう指導者の確保や施設の整備等の条件整備が必要」

▽全国公立高等学校事務職員協会「教科の指導の充実や事務処理の効率化のため、教員一人に一台のコンピュータを整備することが必要」「事務職員が教育課程の編成に携われるような能力の育成が必要であり、教員が参加するマネジメント研修に事務職員が参加できるようにすべき」

▽日本商工会議所「ICTを活用した授業は効果的。教員のICT活用能力の向上や学校のICT環境の整備を推進すべき」「教員の事務負担の軽減を図り、自己研鑽の時間を確保すべき」

▽全国連合小学校長会「少子化が進んでいるものの教員は諸課題の対応に追われ、児童と十分に関わる時間を確保しにくい状況にある。一人一人に対しきめ細かな教育を行うためには条件整備が必要」「全国学力・学習状況調査の活用については実施上の課題を分析し、その必要性や方法を常に見直すことが必要」「体験的な活動」は大切であるが、各学校により条件が異なるので、条件整備が必要」

▽財団法人全国高等学校体育連盟「教師の事務負担軽減を中心とした教育条件の整備が必要」

PISA2006と新学習指導要領
「科学への興味関心」早急な対応必要

OECD生徒の学習到達度調査(PISA2006)の結果が全世界で同時発表された。渡海文部科学大臣はこれについて「順位が下がったのは残念。成績の問題もあるが、1番気になったところは科学に対する子どもの関心が低下しているという結果」「学習指導要領が決まれば、できるだけ速やかにやれることからやるべき。今回のPISAの結果も踏まえ、どこからやれるのか、またどこがやれるのか、スピーディーに検討していきたい」と述べている。

文部科学省では「特に、今回のPISAの結果を踏まえると、先行して実施する内容としては、まずは指導内容の増加が見込まれる算数・数学、理科を対象として検討を進めていくことが必要」「基礎的・基本的な知識・技能の定着とPISA調査で重視している思考力・判断力・表現力等の育成の双方を車の両輪としてはぐくむことが重要」としている。

コメント:

時間数の増加だけではなく、中身とりわけ教師の質向上が求められています。そしていつも行っていることですが、遅い。本当に取り組みが遅いです。


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asahi.com(2006年12月26日 付)

記事:

小中学生の理科離れを防ごうと、お茶の水女子大学(東京都文京区)が東京都北区と協定を結び、小中学校の理科の授業をサポートしている。講師たちが電子顕微鏡などを持ち込み、ミクロの世界を子どもたちに堪能させる。先生も大学側の助言を得、「理科の授業の研修」として授業を進めている。子どもも先生も学べる一石二鳥の試みだ。

11月末、北区西ケ原1丁目の区立滝野川小学校で、4年生の理科の授業が始まった。お茶の水大非常勤講師の宮本康司(こうじ)さん(31)たちが顕微鏡を持ち込み、準備している。生き物や植物の様子を拡大して調べるのがテーマだ。

お茶の水大と北区が「相互協定」を結んだのは、04年3月。子どもたちの理科離れを心配していた同区の高橋哲夫教育長が、知人の同大サイエンス&エデュケーションセンター長の千葉和義教授に持ちかけ、実現した。廃校を利用した土曜日の実験教室なども盛り込まれている。「出前授業」はこの7月から始め、区内の小中学校計8校で実施、来年3月までにさらに計3校で行う。

この日の授業では、児童はサクラの芽やタンポポの綿毛を虫眼鏡で観察した後、1人に1台用意した顕微鏡で拡大。「でけー」「ありえなーい」と歓声が上がった。

「もっと小さな世界も見られますよ」。同小の大貫淑子先生(50)が、電子顕微鏡でとらえたカマキリの卵を見せる。「この大きさが、実際の1ミリです」と手で示すと、「えー!」。驚きの声が上がった。

「子どもの興味を引くには、未知の世界を見られる顕微鏡が必要」と宮本さんは話す。待つ子が出ないよう顕微鏡は人数分そろえ、高倍率の電子顕微鏡を活用する。

しかし宮本さんらは、使用法を説明するだけ。授業の進行を務めるのはいつも通り大貫先生だ。同小の林四郎校長(58)は「小学校の教員は文系出身が多い。理科の授業に『恐怖感』を抱く人が目立つ」と指摘。この取り組みにより「大学側と事前に打ち合わせをしてから授業に臨むことで、進め方を学べる」と説明する。

大学側が小中高校の出前授業をする例は各地で広がっているが、宮本さんによると、大学の教員が出前授業に訪れると、現場の先生は見ているだけになりがちだという。「先生が実験のやり方などを覚えれば、継続して中身の濃い授業が出来る」と意義を語る。

林校長は「理科は人間生活の土台となる教科。児童も教員も、大学のノウハウを吸収出来れば」と話している。

コメント:

驚きって大切ですよね。興味につながります。そして何よりも大切なのは先生が授業の仕方を知れることですね。


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