理系系ニュースで「大学」と一致するもの

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sorae.jp(2008年2月28日 付)

記事:

神戸大学大学院理学研究科のパトリック・リカフィカ(Patryk Lykawka)博士研究員と向井正教授は2月18日、海王星より外側に、地球サイズの未知の天体が存在する可能性が高いという理論予測を発表した。

発表によると、この未知の天体は主に氷から形成され、直径は地球と同じ程度で、質量は地球の3割~7割。海王星の近くで誕生したが、円盤物質の摂動力によって移動し、現在は80AU(約120億km)以遠と仮定されている。

今回の理論予測は、太陽系外縁天体(TNOs)に着目し、太陽系の誕生から約40億年にわたる軌道進化をシミュレーションし、未知の天体の存在が仮定されたという。

なお、この成果はアメリカの「アストロノミカル・ジャーナル」4月号に掲載される予定となっている。

この未知の天体が惑星かどうかという議論は、今後の観測により、まず天体を確認してからである。

さらに、国際天文学連合が現在定めている太陽系の惑星ルール、つまり、太陽の周りを回り、十分大きな質量を持ち、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、その軌道の近くで他の天体を掃き散らしてしまっている天体であることが確認されれば、惑星として認定される可能性が高いだろう。

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どんなシミュレーションで結果が出たのかは分からないですが、かなり高い精度で観測およびシミュレーションができるようになったということなんでしょうね。

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産経ニュース(2008年2月13日 付)

記事:

中川翔子の明るさで、カタい科学の話もノリノリに 科学番組というと、難しい先端研究を伝えるために映像やイラストをふんだんに使って...と、テレビの独壇場と思いがち。ところが、異色の科学系ラジオ番組が登場、若者を中心に支持を獲得しつつある。パーソナリティーには大のSF好きで知られるオタク系アイドル、中川翔子を起用。理系学生に夢や悩みを語ってもらうなど、ラジオならではの趣向が人気の秘密だ。(草下健夫)

 この番組はニッポン放送の「中川翔子のG(ギザ)サイエンス!」(毎週土曜後9・30)。京セラがスポンサーとなり、科学雑誌「日経サイエンス」が研究室探しなどに協力している。

 番組では中川が「ギザ、スゴス」などおなじみの"ギザ語"を連発し、とかくカタくなりがちな科学ネタを元気いっぱいに明るく紹介。ゲストには毎回、大学の研究室から学生数人を招いている。

 ポイントは、科学系番組につきものの大学教授を登場させないところ。「格式張らず学生生活も語ってくれるので、共感を得やすいようだ」と同局の節丸雅矛(せつまるまさむ)編成部副部長は説明する。

 テレビとは異なり、実験風景や研究の様子は話でしか伝わらないが、節丸副部長は「むしろそこがミソ。絵がないから、学生の姿にスポットが当てられる」と強調する。

 電波が届かなくても自動で動く水中ロボットの研究を紹介した放送では、東大生3人が出演。「自分が作ったロボットに写真を撮らせ、海底版グーグルアースを完成させたい」と、口々に研究の苦労や夢を語った。

 番組は昨年10月にスタート以来、若者を中心にメールやはがきで続々と反響が届いている。「こうした反響を今後、番組内容にも反映していきたい」と節丸副部長は話している。

 テレビでは今、科学番組が大流行。タレントの安めぐみが登場するNHK教育「サイエンスZERO」、ビートたけし出演のフジテレビ「たけしのコマネチ大学数学科」、ローカル局でもテレビ神奈川「パペットマペットのサイエンスでしょ!?」...。いずれも芸能人を起用することで科学の垣根を低くしようと奮闘している。

 ところが、日本人の科学離れは深刻化する一方。経済協力開発機構(OECD)が一昨年実施した調査では、日本の高校1年生は平成15年の前回調査に比べ、数学的活用力が調査国中6位から10位に、科学的活用力も2位から6位に低下。科学への関心も日本はおおむね最低レベルにとどまった。ラジオ界の異色番組が科学離れに歯止めをかけるか-。

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一度聞いてみたいもんです。


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京都新聞(2008年2月12日 付)

記事:

同事業は、子どもたちの理系科目離れが指摘される中、科学への興味関心を養う授業法や指導技術を研究してもらおうと、文部科学省所管の科学技術振興機構が全国各地の自治体を指定している。亀岡市教委は市内8小と2中をモデル校とし、高校や大学、企業と連携した学習の在り方などを研究してきた。

大会には、府内のほか、滋賀や石川、新潟などから小中学校教諭や教委職員ら約85人が参加。モデル校を代表して5つの小中学校の教諭と、連携授業を進めた亀岡高や市教育研究所の担当者が事例発表した。

大井小の教諭は、近隣の千代川小と大成中と合同で夏休みに開いた天体観望会の成果などを報告。「教諭の交流で指導のノウハウが共有できたほか、各校のPTAや地域住民とも連携でき、地域全体で理数が好きな子を育てる環境が生まれた」と紹介した。

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こういったノウハウを共有できる場があると良いですね


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WIRED VISION(2008年2月12日 付)

記事:


Image: 書籍『 Biofuels: towards a greener and secure energy future 』(バイオ燃料:環境志向的で安全なエネルギーの未来に向けて)より

関連要素をすべて考慮に入れると、バイオ燃料が排出する温室効果ガスの量は化石燃料よりも多くなる――2月7日(米国時間)、『Science』誌ウェブサイトに掲載された2つの研究論文がこんな結論を下した。

これだけではない。かつて石油に代わるクリーンエネルギーとしてもてはやされた農作物由来の燃料が、環境問題を解決する特効薬ではないことを示唆する研究成果がこのところ増えている。

バイオ燃料は当初、非常に有望に思われた――植物を利用して車を走らせたり工場を稼働させたりする以上にクリーンな方法があるだろうか? しかし、初期の予測は細かい点の検討がやや不十分だった。こうした予測は、燃料となる作物を育て、収穫し、精製するのに必要なエネルギーを必ずしも考慮していなかったのだ。

何より重要なのは、燃料用作物を栽培するためには、温室効果ガスを大量に吸収してくれる植生を伐採して土地を開墾しなければならない――あるいは、既存の農地に燃料用作物を植える場合には、それまで育てていた食物用作物の栽培場所を確保するために新たな農地を開墾しなければならない――という点を考慮に入れていなかったことだ。

これらの要素を計算に入れると、バイオ燃料もそれほど有望とはいえなくなる。今回Science誌に発表されたうちの1つで、プリンストン大学で環境法を研究するTimothy Searchinger氏らがまとめた研究論文によると、化石燃料の代わりに、米国のバイオ燃料業界で人気の高いトウモロコシ由来のエタノールを使用した場合、今後30年間にわたって温室効果ガスの排出量が倍になるという。他の作物よりもはるかにエネルギー効率がよいとされるスイッチグラス[ロッキー山脈に自生する多年生植物]でも、温室効果ガスの排出量が50%増えるという。

一方、Science誌に発表された2つ目の論文の中で、自然保護団体『ネイチャー・コンサーバンシー』の研究者らは、バイオ燃料用の作物畑に変える際に出る二酸化炭素の量と、生産されたバイオ燃料の使用による二酸化炭素排出削減量が等しくなる時間を試算すると、何百年もかかる場合があると主張している[バイオ燃料のために新たに土地を開墾した場合、化石燃料をバイオ燃料に代替することで削減される二酸化炭素排出量の17から420倍の二酸化炭素が大気中に放出され、これを相殺するには数百年かかることもあるとしている]。

だが、明るい材料もある。ネイチャー・コンサーバンシーは、食物用作物が育たないやせた農地に植えられた多年生植物を使ってバイオ燃料を作る場合と、廃棄物バイオマスからバイオ燃料を作成する場合は有益だと指摘している。

どちらの研究も、農作物から燃料を作る際のエネルギー効率が改善される可能性を考慮に入れていないという難点はあるにせよ、2つの研究が指摘するバイオ燃料のデメリットはあまりに深刻なため、これらが導き出した結論まで即座に否定することは難しいだろう。

この2つの研究以前にも、バイオ燃料が環境に与えるダメージを指摘する調査結果(日本語版記事)が複数出ているが、政策立案者が今後こうした警告に注意を払うかどうかは、現時点では不明だ。

多くの国や農業関連企業はすでにバイオ燃料に巨額の投資を行なっており、現在も資本の投入が続いている。バイオ燃料は今や主流の燃料なのだ。

だが、これに反対する動きも大きくなりつつある。国際連合(UN)はバイオ燃料の持続可能性を評価する委員会を設置し、『New York Times』紙は、複数の著名な環境生物学者が、Bush大統領とNancy Pelosi米下院議長にバイオ燃料政策の見直しを迫っていると報じている

現在開催を求めて市民運動が展開されている、科学に的を絞った大統領候補討論会『Science Debate 2008』が実現したあかつきには、大統領候補――特に、バイオ燃料の利用拡大を提唱しているBarack Obama候補――がこの問題について質問攻めにあうのをぜひ見てみたい。

Science誌に掲載された論文、「米国の農地におけるバイオ燃料用作物の栽培は、土地転用による温室効果ガスの排出量増加を招く」と「土地の開墾とバイオ燃料によって生じる炭素の負債」を参考にした。

[日本語版:ガリレオ-矢倉美登里/高橋朋子]

WIRED NEWS 原文(English)

コメント:

アメリカの大統領選挙なども影響しているのでしょうね。

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NHKオンライン(2008年2月11日 付)

記事:

この調査は民間のシンクタンク「ベネッセ教育研究開発センター」が、去年8月から9月にかけ、1人ですべての教科を受け持つ全国の公立小学校の教師、1872人を対象に行ったものです。調査では、国語と社会、算数、理科の各教科について、それぞれの指導が得意かどうかを尋ねました。その結果、「得意」、「どちらかというと得意」と答えた教師の割合が最も多かったのは算数で86%、ついで国語が60%、社会が46%となっていて、得意と答えた教師の割合が最も低かったのは理科の44%で、教師の半数が理科の指導を苦手と感じていることがわかりました。理科を苦手と感じる教師を経験年数ごとに見ますと▽5年目以下で39%、▽6年目~10年目で44%、▽11年目~20年目で42%、▽21年目~30年目では47%、▽31年目以上でも41%とほとんど差がなく、経験を積んでも自信につながらない、理科の指導の難しさがうかがえます。これについて、全国小学校理科研究協議会の会長で東京・北区滝野川小学校の林四郎校長は「小学校の教員の場合は大学で主に理科を学んでこない人が多く、理科に対して苦手意識をもつのは当然だと思う。まずは研修会をたくさん行い、みんな出てもらえるようにするとともに、理科支援員の配置など、校内でさまざまな配慮をして体制が組めるようにしていかないといけない」と話しています。

コメント:

「小学校の教員の場合は大学で主に理科を学んでこない・・・」とありますが、実際には高校でもあまり勉強していないのではないでしょうか。それにこれでは、理科が不得意な理由にはなっていない気が・・。


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学びタイムズ(2008年2月11日 付)

記事:

秋田大学付属鉱業博物館は4,000点以上もの資料を展示しており、鉱物・岩石・化石などの標本類の美しさを堪能できるほか、地下資源の開発・利用に関する資料など、さまざまなことを学ぶことができるという。

このたび同博物館では、市民にも身近に感じてもらおうと、来る2月12日(火)よりサイエンスボランティアの募集を始めるという。この取り組みは、平成7年より毎年行われており、今年度もボランティアとなった人には「生涯学習の一環として自身も学習を深めながら、博物館と市民を結ぶ架け橋」となるよう、博物館主催の学習会を行うという。初めての人や、科学に対して苦手意識があっても大丈夫ということだ。

<鉱業博物館ボランティア募集>
募集期間:2月12日(火)〜4月30日(水)

●問い合わせ
 鉱業博物館事務室  TEL:018-889-2461

コメント:

鉱物は正直あまり身近ではないので、参加すると興味沸くかもしれませんね。それにしても、科学に対して苦手意識を持っている人も対象にしているのはある意味すごいですね。


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OhMyNEWS(軸丸 靖子)(2008年2月10日 付)

記事:

男女の性差を考慮した医学・医療の研究を進め、病気の治療や予防・健康づくりに役立てようという「日本性差医学・医療学会」がこのほど設立され、9日に東京都内で第1回学術集会(会長=鄭忠和・鹿児島大学大学院教授)を開いた。

体の構造や特定の病気の発症リスクなどから、男女の体にさまざまな差があることは明らかだ。たとえば、急性心筋梗塞や狭心症の発症は男性では年齢とともに高くなり60歳代にピークを迎えるのに対し、女性ではそのピークは10年遅れの70歳代になる。また、同程度にコレステロール値が高い男女でも、心血管疾患の予防という観点からすると、女性は男性ほど降下薬を飲む必要はないといわれる。

だが、治療に使われる薬剤の有効性などは、実際は男性のみの臨床試験の結果で出されているのが現状だ。同学会はそうした男女の差を明らかにし、臨床に反映していくことを目指す。

第1回性差医学・医療学会に出席し、千葉県の施策について説明する堂本知事=2月9日、東京・港区のコクヨホール(撮影:軸丸靖子) 学会初日にあったシンポジウム「男女共同参画社会と病」では、パネリストの1人として2001年に全国で初めて女性専門外来を設置した千葉県の堂本暁子知事が登壇。

男性中心の医学・医療体制では、子宮内膜症や更年期障害といった女性特有の健康問題について研究がなかなか進まず、行政からの支援システムも得られにくいこと、また男性にも、中高年期のうつ病や自殺といった特有の問題があり、性差を考慮した行政支援が必要であることを説明した。

また別のシンポジウムでは、女性医学研究が進まない一因にもなっている女性医師や研究者の不足については、折からの医師不足問題と絡めて議論があり、24時間託児所や病児保育の整備、女性医師が育休中の代替要員の確保、復帰する際の研修など、必要な施策についてさまざまな意見が交わされた。

コメント:

女性研究者の不足の問題はいろいろな部分で影響を及ぼしているのですね


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佐賀新聞(2008年2月 8日 付)

記事:

 暗闇の中、ぼんやりと黄緑色に光る大豆の芽―。大豆の品種改良を研究テーマにしている佐賀大学農学部の穴井豊昭准教授(41)が、「光る大豆」の開発に国内で初めて成功した。大豆に蛍光タンパク質を注入する遺伝子組み換え技術を使った。発光クラゲの遺伝子を用いており、穴井准教授は「遺伝子研究に関心を持ってもらうきっかけにしたい」と話している。

 南米原産のオワンクラゲは発光器官を持ち、緑色に光る性質がある。穴井准教授は、クラゲから取り出した「緑色蛍光タンパク質」の遺伝子を、大豆の胚(はい)の細胞に注入。青い光を当てると緑色に波長を変える性質を、種子や葉、茎など全体に持たせた。

 これまでは、稲や植物のタバコを光らせた例はあるが、大豆の細胞は培養が難しく、国内では例がなかったという。

 遺伝子組み換えの農産物をめぐっては、消費者の不安が根強いのが現状。光る大豆はデモンストレーションが目的で、穴井准教授は「農薬を使わず安全に害虫を駆除できたりと可能性がある研究。もっと知ってほしい」と話している。

コメント:

発光クラゲの遺伝子を植物である大豆に組み込んでも発光するんですね。驚きです


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中国情報局(2008年2月 8日 付)

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  広東省深セン市政府が、2008-2010年にかけて市内の大学や科学研究機構の優秀な科学者100人を選出するプロジェクト「深セン市人材ステーション-双百計画」を始めることが5日、明らかになった。新華社が伝えた。

  深セン市はこのプロジェクトのために科学研究開発資金から1億元を準備し、合計100人の科学者に1人当たり100万元を研究補助金として支給するとしている。

  08年の対象人数は50人で、学歴、年齢、戸籍などの制限はないが、深セン市の重点大学、科学研究機構などで正社員として3年以上勤務しており、プロジェクトマネージャー経験を有することが条件。実際には、世界の最先端領域や国際レベルに達する科学研究プロジェクトに携わる人材が対象になるとみられる。

  深セン市は現在、優秀な人材を確保するために「213人材工程」プロジェクトを進めており、数年をかけて全国的なリーダー人材を200人と地方レベルでの突出した専門人材1000人、将来が期待される若い優秀な人材3000人の育成を進めている。

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100万元は約1500万円だそうです。一人で割ると約15万円ですが、市のレベルでこのレベルで実施できるのですね。


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日本の論点PLUS(2008年2月 8日 付)

記事:

 大学受験シーズンの真っ最中である。これから国公立大学の2次試験と私立大学の一般入試がはじまるが、「厳しい受験戦争」という言葉はいっこうに聞こえてこない。"大学全入"の時代をむかえ、大学や学部さえ選ばなければ、誰でも大学に進学できるようになったからだ。すでに大学入学者の42.6%が一般入試を受けず、推薦入学や一芸入試などのAO(アドミッション・オフィス=入学試験事務局)入試で入学している。いまや大学がらみの競争といえば、もっぱら生き残りを賭けた大学間の"サバイバル戦"を指すようになったのである。

 受験戦争が影をひそめたことに加え、授業時間を大幅に削減した"ゆとり教育"の実施によって、日本の生徒は勉強をしなくなった。そのため、生徒の学力は著しく低下した。OECDの「生徒の学習到達度調査」(PISA)によれば、2000年調査では数学的な能力を計る「数学的リテラシー」が世界第1位だったが、03年は6位に、06年は10位に転落し、教育関係者に衝撃を与えた。さらに「総合読解力」は、この6年間で8位から15位に、「科学的リテラシー」は2位から6位に落ちるなど、全分野で順位を下げる結果を招いてしまったのである。

 学力の低下は、何をもたらすのか。英国「The Times」誌の別冊「THES」が07年11月に発表した『世界大学ランキング2007』によれば、日本の大学はベスト10に1校もランクされていない。1位のハーバード大学、2位のケンブリッジ大学など、10位までに米英の名門校がずらりと並ぶ。日本の大学で100位以内に留まっているのは、17位の東京大学、25位の京都大学、46位の大阪大学、90位の東京工業大学といった国立の4校にすぎない。200位以内の大学は、私立の慶応義塾大学(161位)と早稲田大学(180位)の2校を含め、わずか11校だった。このTHESランキングは04年に開始された。東大は、初回調査で14位だったが、その後3年連続で順位を下げた。06年にはアジアトップの座を14位の北京大学に明け渡し、19位にまで転落したのである。

THESランキングでは世界の大学を、研究力(研究者の評価40%、教員一人当たり論文引用数20%)、就職力(雇用者側の評価10%)、国際性(外国人教員比率5%、外国人学生比率5%)、教育力(教員数と学生数の比率20%)という観点から評価している。研究力に重点が置かれていることから、英語で論文を発表する国の大学が高く評価される傾向がある。アジアの大学には不利な面があるのだが、中国の上海交通大学が調査する『世界のトップ500大学』の調査でも、ベスト100のほとんどを米国の大学が占める結果となった。評価の基準は、ノーベル賞などを受賞した卒業生と教員数、「ネイチャー」「サイエンス」誌などへの掲載論文数、論文の被引用数などである。07年のトップ100をみると、20位の東大、22位の京大、67位の阪大など、日本の大学では国立大が6校しか入っていない。

日本の研究業績は、世界に遅れをとってきたわけではない。論文の占有率では、長らく米国に次いで2位を維持してきた。だが、論文がどれだけ引用されているかを表す「相対被引用比率」(被引用数の占有率を論文数の占有率で割ったもの)になると、米国、英国、ドイツ、フランスに次ぐ5位にすぎない。しかも中国とロシアが、猛烈な勢いで日本に迫っている。日本の研究者数も、すでに中国に抜かれ世界3位になった。中国では、膨大な科学技術予算を投じ、飛び級制度によるエリート教育を実施している。日本の大学が中国の大学に追い越されるのは、まさに時間の問題といえるだろう。

少子化が進むなかで、日本の各大学は研究機関の充実よりも、学生集めに躍起になっている。今後は、"大学全入"と"ゆとり教育"の影響が顕在化し、大学の国際競争力をさらに低下させるのはまちがいないだろう。

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日本の大学の低下は予想以上に起こっているのですね。同時に国内での格差も増しそうです。


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NikkeiBPNet(2008年2月 7日 付)

記事:

「日本の大学が産学連携を推進していくためには、大学に従来からの『教員』、『事務職』に加えて『専門職』という新しい職制を設けることが急務」。このような提言が、2008年1月28日~29日の2日間にわたって東京都港区で開催された国際特許流通セミナー2008(主催は独立行政法人工業所有権情報・研修館)のセッションA1「国際産学連携と知的財産マネージメント」で、聴講者である産学連携実務者の支持を集めた。産学連携が国内ばかりではなく諸外国も対象にするようになると、英文などによる共同研究契約などの法務業務が増え、これを担当する専門職が不可欠になるからだ。

この提言は、同セッションのモデレータを務めた東北大学大学院工学研究科教授の原山優子氏が「産学連携の国際化を進めるには何が課題か」という問いに、パネリストの九州大学理事・副学長の小寺山 亘氏と奈良先端科学技術大学院大学教授の久保浩三氏がそろって答えたものである。

大学が企業との共同研究を実施したり、その研究成果を特許などの知的財産として維持・管理していくためには、(1)共同研究の相手企業との共同研究契約の締結、(2)特許出願、(3)特許などの知的財産の技術移転契約、などのサポート業務が必須となる。中でも、産学連携に伴う契約内容を相手企業と交渉する調整業務には高度な専門能力が必要になる。今後諸外国の研究機関などと産学連携を推進するためには、各国の実情に通じ、これらのサポート業務を英語などの外国語によって実施できるといった一層高度な専門能力が求められる。

九州大学などの日本の有力な研究大学は、産学連携推進に必要な専門能力を持つ専門職人材を、企業などの知的財産部門の実務経験者や弁理士などを雇うことで、なんとか対応しているのが実情だ。国立大学は「教員職」と「事務職」の2つの職制で構成されている。産学連携を担当する専門職人材は、「事務職」か"テンポラリ職"などで雇用している。この"テンポラリ職"とは、文部科学省や経済産業省などが提供する競争的研究資金などで数年間雇用する職制だ。再任もある。

産学連携業務を担当する専門職人材を教員職として雇用するには、教育・研究実績が必要となる。企業の知的財産部門の実務担当者は必要条件を満たせないケースが多いため、教員職として雇用するにはハードルがある。事務職を産学連携担当者に育成するケースもあるが、大学の事務職は公務員型の"ゼネラリスト"として2~3年でローテーションするため、専門実務を学んでも数年後に別部門に異動してしまうという問題がある。

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大学全体での教授に対するサポートが必要なのですね。


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NikkeiBPNet(2008年2月 7日 付)

記事:

「日本の大学が産学連携を推進していくためには、大学に従来からの『教員』、『事務職』に加えて『専門職』という新しい職制を設けることが急務」。このような提言が、2008年1月28日~29日の2日間にわたって東京都港区で開催された国際特許流通セミナー2008(主催は独立行政法人工業所有権情報・研修館)のセッションA1「国際産学連携と知的財産マネージメント」で、聴講者である産学連携実務者の支持を集めた。産学連携が国内ばかりではなく諸外国も対象にするようになると、英文などによる共同研究契約などの法務業務が増え、これを担当する専門職が不可欠になるからだ。

この提言は、同セッションのモデレータを務めた東北大学大学院工学研究科教授の原山優子氏が「産学連携の国際化を進めるには何が課題か」という問いに、パネリストの九州大学理事・副学長の小寺山 亘氏と奈良先端科学技術大学院大学教授の久保浩三氏がそろって答えたものである。

大学が企業との共同研究を実施したり、その研究成果を特許などの知的財産として維持・管理していくためには、(1)共同研究の相手企業との共同研究契約の締結、(2)特許出願、(3)特許などの知的財産の技術移転契約、などのサポート業務が必須となる。中でも、産学連携に伴う契約内容を相手企業と交渉する調整業務には高度な専門能力が必要になる。今後諸外国の研究機関などと産学連携を推進するためには、各国の実情に通じ、これらのサポート業務を英語などの外国語によって実施できるといった一層高度な専門能力が求められる。

九州大学などの日本の有力な研究大学は、産学連携推進に必要な専門能力を持つ専門職人材を、企業などの知的財産部門の実務経験者や弁理士などを雇うことで、なんとか対応しているのが実情だ。国立大学は「教員職」と「事務職」の2つの職制で構成されている。産学連携を担当する専門職人材は、「事務職」か"テンポラリ職"などで雇用している。この"テンポラリ職"とは、文部科学省や経済産業省などが提供する競争的研究資金などで数年間雇用する職制だ。再任もある。

産学連携業務を担当する専門職人材を教員職として雇用するには、教育・研究実績が必要となる。企業の知的財産部門の実務担当者は必要条件を満たせないケースが多いため、教員職として雇用するにはハードルがある。事務職を産学連携担当者に育成するケースもあるが、大学の事務職は公務員型の"ゼネラリスト"として2~3年でローテーションするため、専門実務を学んでも数年後に別部門に異動してしまうという問題がある。

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大学全体での教授に対するサポートが必要なのですね。


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(2008年2月 6日 付)

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レーザー光の照射を受けて2万6000個のベリリウムイオンが発する超低温プラズマ。超低温の原子は、量子コンピューターや精巧な計測機器の作成に利用でき、さらにはビッグバンの謎を解く鍵になるかもしれない。

原子1つ1つを捕まえることができれば、それを使っていろいろなことができる。強力なコンピューターを作れるし、重力のほんのわずかの変化も探知できる。ビッグバンのモデリングもできる。

これこそまさに、超低温物理学の分野の研究者たちが取り組んでいることだ。この分野では、原子を絶対0度近くまで冷却し、動きを遅くすることで、その量子特性を利用できるようにしている。

「原子の動きをきわめて遅くできれば、それらを十分に制御できる。そして完全に停止させられれば、数々のとても面白いことが可能になる」と、バージニア大学のCharles Sackett准教授(物理学)は語る。

この現象は、Albert EinsteinとSatyendra Nath Boseによって1925年に予言されていたものだが、いわゆるボース=アインシュタイン凝縮(BEC)が実現されたのは今からわずか12年前だ。その後の短い年月で、研究はかなり進行した。

超低温の分子は、近い将来、量子スーパーコンピューター、きわめて精密な計測機器、ナビゲーション・システムのほか、初期宇宙のモデルの作成にも利用されるだろう。いずれも、通常お馴染みの物質の状態では実現不可能なものだ。

Sackett准教授をはじめ、超低温物理学の研究者らは、レーザー光の照射によって原子の速度を落としている。この方法は1995年にEric Cornell氏、Wolfgang Ketterle氏、Carl Wieman氏が先鞭をつけたもので、3氏はこの業績によって2001年にノーベル物理学賞を受賞している。

通常、原子は光の影響を受けないが、レーザー光を適切な波長に調整した場合のみ、光子と原子は交わり合う。

光子は1つや2つでは、それどころか、数百万個あったとしても、大した影響はもたらさない。原子は室温下では秒速数十万メートルという速さで運動しており、そこに光子を1つぶつけるのは、シカゴ大学のCheng Chin助教授(物理学)の言葉を借りるなら、勢いよく転がっているボウリングの球に卓球の球をぶつけるようなものだ。

だが、卓球の球でも十分な数をボウリングの球にぶつければ、速度を弱めることはできる。原子と光子についても同じことが当てはまる。エネルギーの高い状態から低い状態に移行するのに伴って、温度も大きく下がる。これが、「超低温」という呼び名の由来だ。

これらの研究には通常、周期表の左端の列にあるアルカリ金属を用いる。なぜなら、これらの原子では最外殻に電子が1つしかなく、狙いをつけるのが容易だからだ。そしてひとたび十分に冷たくなると、原子はもはや、高校の化学の教科書でたとえに使われるような、ビリヤードの球が無茶苦茶にぶつかり合うような状態ではなくなる。そうではなく、それぞれの原子の配置と動きが一致した、調和のとれた振る舞いを見せるようになる。

超低温下でのこのような均質性は、意外に思われるかもしれないが、ビッグバン直後の超高温下にも見られたと考えられている。ボース=アインシュタイン凝縮について研究することで、宇宙の起源についても理解を深められると、Chin助教授らは期待している。

「初めは均一の媒体が広がっていた。本来、いかなる構造もなかった。それがその後、あらゆる種類の構造が現れた。この複雑さは何に起因するのだろう?」とChin助教授は語る。

宇宙の起源となると、日常生活の必要性からはやや縁遠く感じられるかもしれないが、超低温物理学はさまざまな形で実際に役立てることができる。

原子を光と磁気の網の目によって捕え、量子の変化の状態を制御することで、Chin助教授は超低温の分子を量子コンピューター・プロセッサーの作成に利用しようとしている。このプロセッサーはバイナリーコードに基づく既存のコンピューター・チップより強力になるはずだ。

「従来の半導体では、ユーザーは配線(に乗った)ビットデータとやり取りを行なう。だが、われわれの研究では、このやり取りを光子に受け持たせる。将来のコンピューターは、数百の原子を真空状態の中で泳がせ、そのやり取りを光によって制御するというものになるかもしれない」とChin助教授は語る。

そして、これは決して美しいだけの夢ではない。世界に現存するどのスーパーコンピューターよりも、はるかに強力なものとなるはずだ。

量子コンピューティング実用化のためには、原子をよりよく制御する方法についての研究がまだまだ必要だ。それまでの間に、超低温の原子ですぐれた計測機器を作ることはできる。

原子に表れた変化をたどることで、磁場や重力場の強さをきめ細かく推測できる。これはSackett准教授の専門で、実用化されれば原油の探鉱に威力を発揮するはずだ。というのも、原油の埋蔵箇所では、一般的な地殻に比べて密度が低いために、わずかに重力が減少することが明らかになっているからだ。

超低温研究のもう1つの実際的な応用例としては、GPSによらないナビゲーション・システムが挙げられる。これには角度を小数第9位まで計算する必要があるが、超低温原子は地球の自転に基づいてこうした計測をやってのける。

要するに、超低温物理学の世界は今、活気づいている。しかも、大きな可能性が残されている分野だ。

「この分野は途方もない速さで進歩している。現在進行形で物事が起きている。10年前だったらこんなアイデアは、SFの世界のことだしか受け取られなかっただろう」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)のVladan Vuletic准教授は語った。

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AFP BB News(2008年2月 5日 付)

記事:

遺伝子操作により風邪を引きやすいマウスの作製に成功したと、ロンドン大学インペリアル・カレッジ(Imperial College in London)の研究チームが4日の英医学誌ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)に発表した。せき、くしゃみ、ぜんそくなどの治療法開発への活用が期待される。

セバスチャン・ジョンストン(Sebastian Johnston)教授率いる研究チームは、通常はヒトやチンパンジーにしか感染しない大半の風邪の原因となる「ライノウイルス(Rhinoviruses)」に感染しやすいマウスを遺伝子操作によって作ることに成功した。これは、風邪のほか、ぜんそくや気管支炎など呼吸器官系の症状の新たな治療法の試験がしやすくなり、治療法の発見が早まる可能性を意味する。

ライノウイルスは50年前に発見されたが、マウスへの実験を行わない研究は難しいことが分かっている。1946年に英国でCommon Cold Unitが風邪の治療法を発見するため人体への実験を始めたが、問題解決に至らず1989年に解散した。

風邪の大半は細胞表面にある受容体分子にライノウイルスが付着したのを機に発症する。マウスの受容体分子はヒトのものとは若干異なるため、ライノウイルスは付着することはできない。今回、研究チームはウイルスを受容できるようにマウスの受容体分子をヒトのものに近いように作り替えた。

コメント:

マウスにとっては豪い迷惑なことですが、この技術が一般的に広まれば、治療薬の研究は進むことでしょう。


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山陽新聞 社説(2008年1月16日 付)

記事:

 高度な専門性が求められる仕事を担う人材の育成を目指す「専門職大学院」で定員割れの多いことが、文部科学省の調査で分かった。

 それによると、二〇〇六年四月までに開設された国公私立、株式会社立の専門職大学院四十九校の計六十六専攻(法科大学院を除く)のうち定員を割り込んだのは二十五専攻に及ぶ。

 分野別では、ビジネス・技術経営(MOT)が二十八専攻のうち九専攻、会計が十四専攻のうち四専攻、公共政策が七専攻のうち二専攻、知的財産やファッションといった「その他の分野」は十七専攻のうち十専攻に上った。募集人員の半数を下回ったのは七専攻で「その他の分野」が五専攻を占めた。

 専門職大学院は、国際的視野を持ち、高度で専門的な職業能力を有する人材の養成という社会ニーズに応えるため中央教育審議会の提言で〇三年度にスタートした。実務経験者を教員として配置することなどが特徴だ。

 科学技術の進展や社会・経済・文化のグローバル化、国際競争の激化という状況下で期待が高まり、重要性も増そう。それが約四割もの専攻で定員割れとは残念だ。

 大学院側と志望者側の求めるもののずれが何か、十分な検証が必要だ。中には趣旨と異なり、単に資格取得だけを目指すカリキュラムの専門職大学院もあると指摘される。専攻や教育内容を見直し、質を高めなければならない。

 企業などの従業員再教育への意識も問われる。大学院に行きやすい環境や高度な専門性を生かす場、処遇など意欲を高める手だてが欠かせない。時代の要請である専門職大学院を、期待倒れに終わらすわけにはいくまい。

コメント:

単なる学位を取得するだけの専門大学院であれば、行く意味がないと考える人が多いのも当然かもしれません。学費も結構高いですからね。ただ、こういった能力を持った人材を多く輩出しなければいけないことは自明です


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中国新聞(2008年1月13日 付)

記事:

ひろしま産業振興機構(産振構、広島市中区)が運営する技術移転機関の広島TLOと、広島大(東広島市)の産学連携センター知的財産部門が統合し、4月に「広島技術移転センター」(仮称)が発足する。広島TLOへの県や国などの補助金が2008年度までに打ち切られ、活動が困難になると見込まれる中、統合で組織の効率化を図り、大学から民間企業への技術移転を仲介する機能の強化を目指す。

広島技術移転センターは、広島TLOと同じ中区千田町の県情報プラザに置き、広島大の東広島キャンパス(東広島市)と霞キャンパス(南区)に支部を設ける。

広島TLOは、広島大を含めた県内11の大学や高専の技術を発掘し、企業での実用化を橋渡ししている。仲介した民間企業への技術移転実績の約7割は広島大から。双方を統合すれば、組織の効率化ができる上、特許権使用料や成功報酬など事業収入増が見込めると判断した。

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TLOとしてきちんと収益を確保できる体制が整えば、産学連携も進むと思います。


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北海道新聞(2008年1月13日 付)

記事:

室蘭工大学長杯ロボットサッカーコンテストが十二日、同大学生会館で始まった。中高生を中心に地元西胆振のほか、札幌や小樽などの小学生から大学生まで計四十七チームが出場。有線操縦型、無線操縦型、自立移動型の三部門に分かれ、手づくりのユニークなロボットによる熱戦を繰り広げた。

青少年に理工系分野への興味を持ってもらおうと始まり、十四回目。この日は「有線」「無線」で、フリーで与えられる周囲六十センチほどのボール五個を時間内にいくつゴールできるか競う予選を行った後、二体のロボットが縦三メートル、横二メートルのコートで戦う本戦に移った。

どのチームも、ロボットの仕組みを工夫。クワガタの角のようなアームでボールをつかんではじき出したり、回転するローラーでボールを体内に取り込み、逆回転で飛ばすなど多彩で、見事にゴールが決まると会場から感嘆の声が上がった。

機動性や操作性も重要で、本戦では二体のロボットがゴール前で激しくボールを奪い合う姿も。各チームの操縦者は、真剣な表情で巧みにロボットを操っていた。故障でロボットが動かなくなるなどのハプニングもあったが、会場からは各チームに健闘をたたえる拍手が送られていた。

最終日の十三日は午前十時から各部門の本戦を行い、優勝チームが決まる。入場無料。

コメント:

中高生でもこういったロボットを作れるんですね。驚きです。


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カナロコ(2008年1月13日 付)

記事:

コーヒーを味わいながら、科学などの第一線で活躍する研究者の話が聞ける「かながわサイエンスカフェ2」が十二日、横浜市鶴見区の鶴見大学で約百人の参加者を集め開かれた。中高生らの理科離れを防ぐことを狙いに、神奈川科学技術アカデミー、鶴見大学、日本学術会議化学委員会が連携し企画した。

二部構成の一部は「ピアノはなぜ黒いのか」。講師は鶴見大学文学部教授の加藤寛さん。黒い塗料がなかったバロック期のヨーロッパ。真っ黒な東洋の漆に出合い、その色合いを出すために技術革新を行い、現在目にする黒いピアノを完成させたという。その過程を欧米で黒が持つステータスシンボルの意味を交えながら解説した。

二部は「人体の矛盾」。同大歯学部講師、小寺春人さんが動物にはない咽頭(いんとう)について話した。人間はこの器官を持つことで言葉を発する能力を手にした。しかし、むせたり、誤飲したりする負の構造を背負い込むなど、進化がはらむ矛盾について平易な言葉で紹介した。

講演の合間にはバイオリンとチェンバロの演奏もあり、参加者はゆったりとした気分で話を楽しめた。東京から父親とともに訪れた堀智喜さん(13)は「自分の知らない知識を得られるのでとても楽しい」と目を輝かせた。

企画にあたった鶴見大歯学部の瀬戸晥一部長は「くつろいだ雰囲気の中で研究者の話に耳を傾け、理科は面白いと興味を持ってもらえれば」と話している。次回は夏に開催する予定。

コメント:

サイエンスカフェ、日本で広がりだしましたね。


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北海道新聞(2008年1月11日 付)

記事:

楽しい実験の方法を、現役の先生に教えます-。子どもの理科離れを防ぐため、若い教師らに授業のこつを伝授しようと、道内の理科教師OBらで構成するNPO法人・北海道科学活動ネットワーク(札幌)は十一、十二の両日、「青少年のための科学の祭典・指導者研修会」を北大学術交流会館(札幌市北区北八西五)で初めて開く。

同ネットは、札幌などで子ども向けに実験や工作を体験してもらうイベントを毎年実施している。面白い実験ができる教師をさらに増やすため、実験授業の実践で全国的に有名な教師を講師として招き、初めて教師向けの研修も同時開催することにした。

研修は両日とも午前からで、子ども向け実験教室やサイエンスショーで活躍する首都圏などの教師、道立理科センターの主任研究員らが講義する。

実際に実験をしたり授業の写真を使うなど、子どもの関心を集める理科実験のこつを伝える。講演者によるパネルディスカッションも開く。

午後は実際に実験を紹介しながら教師の腕も磨くため、会場を子どもにも開放する。「シャボン玉遊び」「簡単花火」など二十五のブースを用意し、教師や教師OBらがお互いに技術を伝えあいながら、磁石やせっけんなど身近な材料で理科の面白さを伝える。

いずれも無料。研修は十一日が午前十時半から正午、十二日は午前九時半から午後零時半まで。子ども向けの実験紹介は両日とも午後一時半から午後四時。問い合わせは同ネット(電)011・578・3500へ。

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小学校の先生にとって理科の実験を考えるのは大変なので、こういった取り組みはありがたいですね。


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Nikkei net(2008年1月10日 付)

記事:

山梨大学(貫井英明学長)は産学連携の推進組織を4月に一本化する。学内の関連部門を統合し、研究成果の外部移転を担う山梨ティー・エル・オー(甲府市、風間善樹社長)も取り込む。企業との共同研究スペースの管理も一元化し、活用を促す。県内のベンチャーや中小企業が技術開発などで大学と連携しやすい環境を整え、共同研究の実績を高める。

知的財産管理の研究支援・社会連携部、企業との研究協力推進の地域共同開発研究センターを統合。学長直属の「産学官連携・研究推進機構」を新設する。研究・企画担当理事の横塚弘毅副学長が機構長に就く。医学、工学、教育人間科学の各学部長や理事、評議員など3―6人で構成する委員会が運営に当たる。

共同研究を進める地域連携室、特許などの管理や技術移転、国際展開を担当する知的財産戦略推進室を機構内に新設。同大学と県内企業が共同出資する山梨TLOは保有する特許権などを大学に移譲して解散し、機能を両室に移す。国の助成金など外部資金を管理する研究推進室も設ける。

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面白い取り組みですね。各研究室の自由度は保ちつつ、事務的な窓口部分を補うような組織がいいような気がします。


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Nikkei net(2008年1月10日 付)

記事:

厚生労働省は、再生医療の切り札として期待されている新型万能細胞(iPS細胞)の臨床研究を促すため、来年度に研究機関の実験施設の整備を支援する。新型万能細胞は昨年秋に京都大学の研究者が開発の成功を発表したばかりだが、世界中で研究競争が激しくなっている。日本発の研究成果の優位性を保つためにも、医療への応用研究を加速させる必要があると判断した。

10日に開催される政府の総合科学技術会議の会合で研究支援策として説明する。

コメント:

今回の対応は非常に早いので好感持てます


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asahi.com(2008年1月10日 付)

記事:

山中伸弥・京都大教授らが作製に成功した万能細胞(iPS細胞)研究の拠点となる京都大のセンターが月内にも正式発足することがわかった。将来的に10人ほどの教授陣に加え、100人以上の研究員が集う場にする構想。センター長には、山中教授が就任する。

10日にあった万能細胞研究の支援体制を検討する文部科学省の作業部会後、京都大の松本紘理事が明らかにした。

京都市内にレンタルオフィスを借りて早急に活動を始めるほか、年内に仮設の施設を設置。2年後をめどに建物を完成させる計画だという。

知的財産は大学本部で管理し、センターを担当する弁理士や弁護士を置く。山中教授が所属している京都大再生医科学研究所を国内の研究者が共同利用できる施設に変更し、iPS細胞研究への参加を促す方針だ。

また、関係各省の支援方針も同日出そろった。国の総合科学技術会議の作業部会で報告された。

経済産業省は、iPS細胞を薬の効果や副作用の検出に使うための研究開発を京都大と共同で07年度中に始める。作製効率を上げる手法の開発なども支援する。

厚生労働省は、医薬基盤研究所を通じ、来年度も1億円弱の研究費を助成する。利用時の指針を整備するための準備や、細胞培養に必要な専門施設の整備などを進め、再生医療全般で研究を支援する。

文部科学省は、臨床試験手前の研究事業を08年度に30億円規模で始める。内訳は、iPS細胞に関連した病気のモデル細胞作りなどの基礎分野に10億円、神経細胞や血球などへの分化誘導技術開発などの応用に10億円。また、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や体性幹細胞を含む幹細胞研究全般にも10億円を充てる。京都大での知的財産権保護も支援する。

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知的財産と融合した体制は今後のケーススタディとなるようなものになって欲しいですね


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Yomiuri Online(2008年1月10日 付)

記事:

京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功した万能細胞(iPS細胞)の研究を加速させるため、文部科学、厚生労働、経済産業の3省による支援策が10日、まとまった。

国の総合科学技術会議の作業部会に報告された。

病気やけがで傷んだ臓器や組織を修復する再生医療の実現に向けた新たな研究プロジェクトや、iPS細胞をさまざまな細胞に変化させる技術の研究拠点の新設など、2008年度だけで計30億円以上の国費が投入され、国を挙げて、iPS細胞研究を支援する体制が整った。

文科省は08年度から、<1>iPS細胞を神経細胞や血液細胞などに変化させる技術の開発や技術指導を行う研究拠点(1拠点)<2>目的の細胞に変化した細胞を治療に使うための技術を開発する研究拠点(3拠点程度)――を公募し、計約10億円を投入。さらに若手研究者の育成などiPS細胞研究に対して計約12億円をつぎ込む計画だ。

また、厚労省は08年度、再生医療を推進する拠点の整備などで計10億円以上の研究費を助成。iPS細胞を使った医療の実現に向けた安全基準づくりも検討する。経産省は07年度から、iPS細胞を利用した産業の創出を目指し、iPS細胞を使って薬の効果などを調べる創薬技術やiPS細胞の作製効率を高める技術に対し支援する。

また、この日の作業部会では、国内のiPS研究の中心となる、京大の「iPS細胞研究センター」(センター長・山中教授)が今月発足したことが報告された。

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今回異例の速さで支援体制が固まりましたね。


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Nikkei net(2008年1月10日 付)

記事:

京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて人の皮膚細胞から作製した新型万能細胞(iPS細胞)の研究を強化するための国による支援策が出そろった。経済産業、厚生労働など関係省庁合計で約33億円を2008年度に投入。神経や臓器の働きを回復させる再生医療の早期実用化を目指すほか、iPS細胞を創薬に役立てる技術の開発や、有力特許の獲得を促す。

10日に開いた総合科学技術会議(議長・福田康夫首相)などの専門家会合で各省庁が示した。経産省は今年度内に最大1億円を投じ来年度は増額する。人の遺伝子をほぼすべて網羅した遺伝子バンクを山中教授に提供する。iPS細胞作製に使う遺伝子を変えれば安全性や作製効率を改善できると期待している。

新薬開発に同細胞を生かす研究を年度内にも始める。同細胞から作った心臓の筋肉や肝臓などの細胞に、新薬候補物質を加えれば安全性などを効率よく調べられる。

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国を挙げての支援体制、整ってきましたね


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森林総合研究所(2008年1月10日 付)

記事:

独立行政法人森林総合研究所は、1月28日に「応援します!家族責任を持つ女性研究者」第1回公開シンポジウムを開催します。

当研究所は平成19年度文部科学省科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成事業」の採択を受け、所内の家族責任を持つ職員全てに男女共同参画意識を向上させるために、様々な取り組みを行っています。

本シンポジウムの基調講演は文化人類学者でジェンダー研究の第一人者である原ひろ子先生(お茶の水女子大学名誉教授)から「人類の将来と男女共同参画」と題して、また招待講演では元森林総合研究所の新島溪子氏による「研究機関における女性職員の過去と未来」と題して講演が行われます。またパネルディスカッションでは、同じ独立行政法人の研究機関である産業技術総合研究所、物質・材料研究機構、理化学研究所の男女共同参画担当の方々をパネリストとして、独立行政法人の研究機関に共通の問題点と解決策について討論します。

今回、本シンポジウムが多くの参加を得て開催されることにより、独立行政法人の研究機関における今後の有効な女性研究者支援の在り方が示されると共に、他の研究機関や大学等に大きな刺激を与えることで、女性研究者の躍進および社会全体に対する男女共同参画意識の改革に大きく貢献するものと考えます。

 日時:2008年1月28日(月)13:30~17:30 (受付13:00より) 
会場:つくば国際会議場エポカル中ホール(茨城県つくば市竹園2-20-3)
   (Tel:029-861-0001, Fax:029-861-1209)
   (つくばエクスプレスつくば駅から徒歩10分)
プログラム:http://www.jsfws.info/ffpri_sympo
主催:独立行政法人森林総合研究所
共催:独立行政法人産業技術総合研究所、独立行政法人物質・材料研究機構
協力:独立行政法人理化学研究所
後援:内閣府(予定)、男女共同参画学協会連絡会

参加申し込み先:http://www.jsfws.info/ffpri_sympo

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女性が研究者と家庭を両立させることができるような環境を作ることが大切ですね


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佐賀新聞(2008年1月10日 付)

記事:

就職情報会社のダイヤモンド・ビッグアンドリードが10日発表した2008年の大学生人気就職先ランキングによると、文系男子は2年連続で三菱商事が首位、文系女子は東京海上日動火災保険が2年ぶりのトップとなった。文系では男女ともに総合商社や金融の人気が高く、ダイヤモンドは「大手、安定志向が続いている」と話している。

文系男子の2位は三菱東京UFJ銀行で、前年より順位を1つ上げた。3位は三井物産、4位が住友商事と商社が続いた。文系女子は、2位が前年首位だった三菱東京UFJで、3位は全日本空輸。

一方、理系男子は1位が日立製作所、2位が松下電器産業で、3年連続で1、2位が同じ。前年9位だったソニーが3位に浮上した。理系女子は資生堂が2年ぶりにトップとなり、2位は松下、3位が日立だった。

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文理ではやはり希望が大幅に変わるものですね。また、理系のメーカー離れもある程度とまったのでしょうかね


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Yomiuri Online(2008年1月 8日 付)

記事:

理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)は3月から、京都大学の山中伸弥教授のグループがマウスの皮膚細胞から世界で初めて作製した万能細胞(マウスiPS細胞)を希望する研究者に配布する事業を始める。

iPS細胞を多くの研究者に利用してもらうことで、再生医療などの研究を加速させるのが狙い。

iPS細胞は、さまざまな臓器・組織の細胞に変化する万能細胞の一種。山中教授らは人間でも同様にヒトiPS細胞を作製しているが、受精卵を使わず作製できることから世界的に注目されている。

特許取得の手続きも済んだことから、細胞バンク事業に実績のある同センターは京大から依頼を受けて、希望する国内外の研究者に提供することにした。

今週にもiPS細胞の培養を開始し、3月から提供を始める。費用は約100万個の細胞が入った試験管1本で実費1万2000円。提供を受けた研究者が論文を発表する場合は、京大との共同研究になる。同センターはヒトiPS細胞についても4月以降配布する予定。

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科学の世界ではこういったことが結構当たり前に行われますよね。


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Yomiuri Online(2008年1月 8日 付)

記事:

横浜市教育委員会は、独立行政法人・理化学研究所横浜研究所(鶴見区)と、2009年4月に開校する「横浜サイエンスフロンティア高校」(同)での教育を支援してもらう協定を結んだ。理研と高校との協定は初めて。市教委では、生徒が最先端の研究に触れ、未来の科学技術の担い手に育ってほしいとしている。

理研は、自然科学分野で世界トップレベルの研究機関。横浜研究所は、遺伝子やヒトの免疫機能など生命科学分野を担当している。

横浜サイエンスフロンティア高は、全クラス理数科に特化し、研究者や技術者など科学分野のエキスパート養成を目指す。すでに東京、慶応など8大学や東京電力、東京ガスなど24企業と協力関係を結んでいる。

協定では、理研から一線の研究者を招いて講義を受けたり、生徒が施設を訪れ、研究を見学したり、実験を体験したりする。同校の教員も理研で研修を受け、高度な科学知識に触れてもらうことも検討している。

市教委は「最先端の研究現場に接することで、将来の道をひらくきっかけにしてほしい」と期待。理研も、「生徒にわかりやすく説明するよう努めたい。若者の理科離れが言われており、その経験を自然科学の魅力を伝える広報活動に生かしたい」と話している。

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横浜サイエンスフロンティア高校っていう高校が出来るんですね。初耳でした。


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公明新聞(2008年1月 8日 付)

記事:

"科学技術立国・日本"から技術革新の波を世界に波及していくことが期待される中、世界最高性能の次世代スーパーコンピューターを2010年までに稼働させる国家プロジェクトが注目を集めている。07年3月には、開発主体の独立行政法人・理化学研究所(理研)が、「スーパーコンピューター共用施設」の建設地を神戸市中央区のポートアイランドに決定し、同市が推進する医療産業都市構想や地域企業との連携も始まろうとしている。ここでは、スーパーコンピューターが可能にする科学技術とともに、建設地・神戸市の取り組みを紹介する。

スーパーコンピューターとは、膨大な計算を素早く行うことができる高性能コンピューターのことで、その高速計算による「シミュレーション(模擬実験)」は、実際の実験や理論上の検証と並び、科学技術の発展に必要不可欠な手法となっている。

シミュレーションは再現が困難だったり、時間がかかりすぎたりする実現不可能な実験・観測をコンピューター上で模擬的に行う実験。理研は、「人間に見ることができないものを認識できるようにすること」と説明している。例えば"物が燃える"という現象は何千分の一秒という短い時間の中で複雑な化学反応を繰り返しているが、その時間を引き延ばし検証することで、より効率的な燃焼の仕方を研究し、自動車やロケットのエンジンの改良・開発に応用することができる。逆に、地球温暖化の動向や天体の動きなど長い時間をかけて変化する現象は、時間を縮め、予測することも可能となる。

シミュレーションは、より多くの情報をより速く処理できるほど精度が上がるため、スーパーコンピューターは計算速度の高速化を求めて進歩してきた。

今回、開発が進められている次世代スーパーコンピューターは、「1秒間に1京回(1兆の1万倍)の計算速度が目標」(理研)。これは、02年から04年に世界最速を誇った日本を代表するスーパーコンピューター「地球シミュレータ」の約250倍。また現在、世界一の米国製コンピューターの約30倍の速さで、世界一の性能となる見込みだ。

次世代スーパーコンピューターが完成すれば、情報量が多すぎて突き詰めることができなかった分野で、これまでの限界を突き破る科学技術の革新が期待される。特に、今回のプロジェクトでは、ライフサイエンス(生命科学)とナノテクノロジー(原子レベルでの制御技術)の発展に貢献することが大きな目標とされている。

理研によると、ライフサイエンスの分野では、人間の体全体のシミュレーションを目指すという。これは、人間を構成する分子、細胞、臓器などそれぞれの階層にまたがって総合的に人間の生命現象を捉えようとするもので、新薬の発明や医療診断などの技術革新への期待が高まっている。体中の血管と血流をシミュレーションすることで動脈硬化の発症を予測することや体質情報から個人ごとに合った薬の開発なども実現可能という。

また、ナノテクノロジーの分野では、自然科学研究機構分子科学研究所(愛知県岡崎市)が中心となり、原子一つ一つをシミュレーションし、新エネルギーの創出などを研究する。原油価格高騰の中、稲わらや建築廃材からエタノールを作るといった新技術の開発も研究の視野に入っている。

そのほかにも、新しい半導体の開発や自動車の衝突実験、原子力施設の耐震設計、台風進路や集中豪雨予測の高精度化など多彩な分野の開拓が見込まれている。

新薬、新エネルギー、半導体開発など 多彩な分野で利活用

神戸が研究・教育の一大拠点に

こうしたスーパーコンピューターの機能を十分に発揮していくために学術機関との連携強化の必要性が叫ばれる中、甲南大学フロンティアサイエンス学部(仮称)や神戸大学などが相次いでポートアイランドへの進出を決定。神戸市は、次世代スーパーコンピューター共用施設を中心とした研究・教育の一大拠点へと発展する機運が高まっている。

一方、神戸市では1998年からポートアイランドを中心に医療産業都市構想を推進している。同構想の中核施設として基礎から臨床応用までの橋渡し研究を行う先端医療センターをはじめ、神戸バイオメディカル創造センターなどが設置されており、高度な医療技術の研究・開発拠点が整備されている。構想発表から現在までに、90社以上の再生医療の研究やがんの治療法の開発を行う企業がポートアイランドに進出。今後も、製薬会社や医療機器メーカーなどの誘致が進むことが予想されている。

神戸市は、次世代スーパーコンピューターの活用で、医療産業都市構想のさらなる発展へ意欲を示しており、市医療産業都市構想推進室の三木孝室長は「ライフサイエンスで注目されるようになったが、今後、神戸が世界的な医療都市に発展できるかが焦点」と話している。また、地域の中小企業などの産業利用を促進するため、神戸市は昨年11月、次世代スーパーコンピューターの活用に関する技術相談の実施やシミュレーション研究の成果について周知を進める「財団法人計算科学振興財団」(仮称)の設立構想を発表。地域の「スーパーコンピューターとは何か。中小企業にまでメリットがあるのか」といった声に対応し、ニーズの掘り起こしを進めていく。


公明党の赤羽一嘉衆院議員と市議会公明党(米田和哲幹事長)は先月1日、理研の神戸研究所(中央区)を訪れ、次世代スーパーコンピューターの利活用や再生医療研究などについて、関係者から説明を受けた。

赤羽氏は、神戸商工会議所から要望を受け文部科学省と誘致に向け交渉してきた。また、市議会公明党は「地元経済への普及についても、超高性能のシステムそのものを使いこなすにしても人材の発掘・育成が急務」と訴えてきており、今後もこれらの課題の克服に全力を挙げることにしている。

赤羽氏は「知の一大拠点となるポートアイランドから発信される先端の情報や技術が、神戸の発展につながるよう尽力したい」と話していた。

コメント:

国家レベルでスーパーコンピューターの競争は激化していますが、地方レベルでのこういった活動への参画はありがたいですね。ただし、同時に地域へどう還元していくかが課題だと思います。


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京都新聞(2008年1月 8日 付)

記事:

子どもの「理科離れ」が懸念される中、京都大総合博物館(京都市左京区)で毎週土曜日に行われている「週末こども博物館」が人気を集めている。京大の学生や研究者、市民が教材を持ち込み、自然や歴史などさまざまなテーマで子どもたちに学ぶ楽しさを伝えている。運営資金の確保が課題だが同博物館は「考える力を育てる取り組みとして続けていきたい」と支援と協力を呼び掛けている。

2004年秋から始まった取り組み。「自然・科学」と「文化・芸術・歴史」のテーマで開いており、児童館や教育イベントなどへも出張している。同博物館ではロビーを会場に、研究者や学生らが教材を机に並べ、紙片を組み合わせて立体を作ったり、化石や標本の観察などを子どもたちに体験してもらっている。

メディアと情報伝達を研究する情報学研究科の大学院生、孫暁萌さん(32)は、図鑑を見ながら自然の中で生きる動物たちの絵を描いてもらうことで、動物の生態への理解を深めるプログラムを行っている。子どもたちは海を泳ぐイルカや砂浜のカメ、高い木の葉を食べるキリンなどを描きながら「いろんな特徴が分かって楽しい」と笑顔を見せる。孫さんも「子どもたちに教えるのは楽しいし、研究のアイデアも出てくる」という。

課題は運営資金。博物館は社会貢献の一環として事業費を確保してきたが、国からの支援確保が難しくなっており、研究費や企業からの助成などでやりくりしている。

博物館の大野照文教授は「子どもの考える力を伸ばすのは『国家100年の計』。学校の先生が忙しいのなら、人もノウハウもある大学を活用してほしい。学生たちも、自分の研究を分かりやすく伝えることの大切さを学べる」と話している。

コメント:

運営資金が厳しいというのはなんとももったいないですね。また、教授の言っている「自分の研究を分かりやすく伝えることの大切さ」というのは


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SANSUPO.COM(2008年1月 8日 付)

記事:

東北の科学に関する話題を分かりやすく取り上げた雑誌「テクノクロップス」の発売が仙台市の書店で始まった。新製品や大学研究者の横顔、子ども向け施設...。写真を多用、全ページがカラーの親しみやすい内容で、東北発の科学や企業の魅力を伝えている。

仙台に事務局がある特定非営利活動法人(NPO法人)「科学協力学際センター」(代表理事・川添良幸東北大金属材料研究所教授)が編集。昨年11月に創刊、小中学校や科学館、病院や銀行などに無料配布して好評だったため、書店販売を始めた。

最新の第3号では、過去に三陸地方などを襲った津波を今村文彦東北大教授が解説した。

地元の海水にこだわって塩をつくる秋田の企業組合男鹿半島振興会や、廃食油からつくる燃料で幼稚園のバスを動かす山形の「かねやま新エネルギー実践研究会」なども紹介。福島県いわき市の環境水族館「アクアマリンふくしま」の大水槽に先端技術が結集していることも取り上げた。

川添代表理事は「東北の各地で科学をベースに頑張っている人がこんなにいるよと若い人に伝えたい。大学生らの地元定着の一助にもなれば」と話し、年4回の発行を目指している。

A5判で36ページ、480円。問い合わせはセンターの事務局、電話022(261)9481。

コメント:

大人の科学など最近こういった雑誌が増えてうれしいですね。是非続けていって欲しいものです。また、東北地方限定ということですが、是非見てみたいですね。


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科学新聞社(2008年1月 7日 付)

記事:

総務省統計局は12月11日、平成19年度科学技術研究調査結果の速報値を公表した。科学技術調査は、総務相統計局が毎年行っているもので、日本の科学技術に関する研究活動の状態を調査し、科学技術振興に必要な基礎資料を得るのが目的。

平成18年度の日本の科学技術研究費の総額は、18兆4631億円(対前年度比3.5%増)と過去最高で、7年連続の増加となった。また、対GDP比率も3.62%と過去最高となった。これは全体の8割を占める民間企業の研究開発投資が4.6%伸びているためで、大学等は0.7%のマイナスとなっている。性格別に見てみると、基礎研究費(2兆3756億円)、応用研究費(3兆7877億円)はともに0.9%の伸びだが、開発研究費(10兆9294億円)が5.5%と大きく伸びている。

産業別では、企業の研究所などが23.7%増と大きく研究費を増やし、次いで医薬品工業12%増、輸送用機械工業5.3%増などとなっている。

一方で大学の研究費を見てみると、国立大学が4.2%減の1兆4277億円、公立大学4.5%減の1765億円となっている中、私立大学は2.7%増の1兆7782億円となっている。学問分野別では、自然科学系が1.2%の減となっているが、特に理学は10.4%の減と大きく下がっている。

また、研究関係従業者数は105万2100人で、前年に比べて1.5%増えた。研究者が82万6600人(0.8%増)、研究事務その他の関係者が8万3200人(5.3%増)、研究補助者が7万3900人(3%増)、技能者が6万8400人(4.5%増)となっている。男女別に見ると、女性が10万8500人と全体の12.4%を占め、過去最高となった。

技術貿易動向を見てみると、平成18年度の技術輸出による受取額は17.8%増の2兆3782億円と過去最高になった。また、技術輸入による支払額は7054億円(0.2%増)と過去最高。技術輸出額を技術輸入額で割った技術貿易収支比率も3.37倍と過去最高となった。

技術輸出の相手国としては、米国(40%)を筆頭に、中国(8.9%)、タイ(7.9%)、イギリス(5.3%)、カナダ(4.6%)と続いている。一方、技術輸入の相手国としては、米国が73%と圧倒的に大きく、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデンなど米国以外の各国は数%程度となっている。(科学、12月21号2面)

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GDP比で最高となったのですね。理由を知りたいです


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産経ニュース(2008年1月 5日 付)

記事:

先端研究の成果を広く紹介しようと、奈良先端科学技術大学院大学(生駒市高山町)は、インターネット上に「NAISTバーチャル科学館」(http://museum.naist.jp//)を開設した。情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学の3つの研究科の成果について、縦割りの垣根をなくし、テーマ別に再編成して分かりやすく紹介。同大学では「先端研究のテーマパーク」としての役割を期待している。

受験生など外部の人々に積極的に情報発信するとともに、子供のための理科学習など地域貢献にも活用することが目的。

「遺伝子」「細胞」「バイオ」など7つのキーワードを、画面上にびっくり箱のように並べて表示。それぞれクリックすると、さまざまな研究テーマと成果が項目ごとに詳しく紹介される。また、テーマごとに質問箱を設けており、電子メールを通じて研究者に直接質問することもできる。

「バーチャル科学館」には、同大のホームページからもアクセスすることができる。

コメント:

先端技術を積極的にわかりやすく表現することってとても大事だと思います


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CNET Japan(2008年1月 4日 付)

記事:

新年明けましておめでとうございます。本年もどうかよろしく御願い致します。

皆さんはイノベーション(Innovation)という言葉をよくご存知と思います。有名な経済学者のシュンペーター(オーストリー出身)が1911年に発表した著書「経済発展の理論」の中で初めて定義したそうです。さて、このイノベーションですが日本語に訳すとよく「技術革新」と言われてもっともポピュラーな外来語の一つになっています。小生も中学生のときにイノベーション(技術革新)と習った記憶があります。

しかし、実はこの「イノベーション=技術革新」というのは最近見直しの動きも一部に出ているようです。「誤訳」とは言わないまでも「誤解」を与えやすいというのがその理由かもしれません。「技術革新」の文言には実は奥深い意味がこめられているのだと思いますが、表面だけを見てしまうと単純な「Technology Development」というニュアンスが強くなってしまう様です。

本家本元のイノベーションの定義に小生が触れたのは某大学の先生と国内の学会で親しくなって、無理を言って当時勤めていた会社に講演にわざわざ来て頂いた時のことでした。その機会を得なかったら小生も「イノベーション=技術革新」だと思っていたことでしょう。イノベーションの本来の定義は「社会的意義のある価値を創造し、社会的に(中略)幅広い変革をもたらすこと(引用:ウィキペディア)」とされています。先生の言葉を拝借すれば「単なる技術開発ではなくて、それが社会に影響を与えることがイノベーションの本質」ということになります。つまり、社会に作用するというのはまさにその技術がそれなりに浸透して受け入れられなければならないということを意味するといってもいい。

小生は10回以上の渡米歴がありますが、シリコンバレーが特別優れたシステムを持っていると思ったことはありません。しかし、シリコンバレーがそれたり得るのはシュンペーターの定義通りに少なくとも「技術開発」と「ビジネス」が有機的にリンクしていることが大きな特長ではないかと思っています。斬新で画期的な技術というものはそんなに簡単には生まれるものではありませんが、本当に技術の価値が分かるのであればこれが世に出るための「形」が頭に描かれていてもいい。これは技術者自身がそれに気が付かなくても第三者が例えば特許を買ってビジネスを独自にスタートさせて発展させてもいい。

和製シリコンバレーは「本質的なイノベーション」を目指す場であればどんなにすばらしいだろうか。とかく、「高い技術力」に話は集中し易いが、日本が伝統的に弱いのは「技術力」ではなく、むしろイノベーションのもう一つの重要な要素である「ビジネス的な要素」の欠落、乃至は技術とビジネスの融合の弱さ、にあると小生は思っている。なぜ、日本の半導体技術開発関連のコンソーシアム(CASMAT、SELETEなど)に対する国内の評価は高くないのだろうか。和製シリコンバレーは(例えば)つくば市にある産総研を中心にして今からでもどんどん発展して行ってもいい。新たに作る必要は極論、ないと思います。要は「技術力」ということだけに囚われていては本質的なイノベーションが期待できないのではないか、と思うのです。

資金力なども非常に重要ですが、日本にはどちらかというと「プロの企業経営者」や「ビジネスマン」の方が圧倒的に不足しているように小生は感じています。技術者主導のシリコンバレーにビジネスセンスが期待できないというつもりは毛頭ありませんが、国家予算をふんだんに投下した和製コンソーシアムのこれまでの功罪を冷静に考えた場合に「どうなるんだろうなあ・・・」という思いがよぎってしまいます。産官学連携に加えて資金。これらの要素は本家シリコンバレーと全く同じはずです。なのに有効に機能していないのはなぜだろうか?と考えると、個人的にはどうしても「ビジネスセンス」に行き着いてしまうのです。開発した技術のOutput先が明確に描かれているのだろうか?と。

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「高い技術力」と「ビジネス的な要素」の対極の話、まさにその通りですね。


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岡山日日新聞(2008年1月 4日 付)

記事:

理科の魅力や学ぶ楽しさを紹介しようと「岡山理科大学周辺の自然と人間の営み」が、岡山市伊島町3丁目の県立児童会館で12日まで開かれ、多くの親子連れが訪れている。 同大博物館学芸員課程を履修する学生による作品展で、外来生物「ヌートリア」、中四国の地震など8組の作品を展示している。 初日は同大の3、4年生12人が参加し、体験しながら学べる作品を約100人の子どもたちに紹介。リニアモーターカーの模型による「フレミングの左手の法則」の実験、フナやオイカワなど同大周辺の水路に生息する水生生物と水質の関係の調査結果などについて、道具やパネルで分かりやすく説明した。 父と妹と3人で訪れた大江健斗君(10)=同市伊福町3丁目=は「理科がもっと好きになった」とにっこり。 同大と同会館は昨年12月12日に子どもの理数離れを防ぎ地域活性化につなげようと、教育と研究に関する協定を締結。同展示会は、取り組みの一環で行われている。

コメント:

イメージですが、岡山理科大学はこういったことを多く実施している気がします。


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東京新聞(2008年1月 3日 付)

記事:

初日の出とともに、京都議定書の約束期間が始まって、地球環境は大きな転機を迎えています。政府はもちろん、企業や市民も、自らを変える転機にしたい年。

インドネシアのバリ島で先月開かれた国連気候変動枠組み条約第十三回締約国会議(COP13)。国際NGO(非政府組織)の会合に研究者として参加した名古屋大学大学院教授の竹内恒夫さんは「日本は変わってないな」と、ため息をつきました。

京都議定書で温室効果ガス削減の基準年とされる一九九〇年、竹内さんは環境庁の職員でした。

同じ目標、同じ議論
そのころすでに欧州では、地球温暖化問題が重大視されていて、温暖化対策の「二〇〇〇年目標」をつくるのが、流行になっていました。

オランダで前年に開かれた温暖化と大気汚染対策の国際会議に出席し、欧州の空気に触れた上司の発案で、その年創設されたばかりの地球環境部が、「日本版二〇〇〇年目標」をつくることになりました。

資源エネルギー庁に出向した経験のある竹内さんは、主に省エネを進める視点から、そのチームに招かれました。

竹内さんたちがつくった「地球温暖化防止行動計画」は、二酸化炭素(CO2)の排出が少ない都市構造やエネルギー受給環境、ライフスタイルなどへの転換を図ることにより、二〇〇〇年の温室効果ガス排出量を九〇年と同じレベルにするという目標を掲げています。

二〇〇〇年から九年目。京都議定書で日本は、CO2の排出量を五年間で6%減らす約束だ。ところが、九〇年比でいまだにゼロにはなっていない。それどころか、6・4%も増えている-。

「電力会社もガス会社も、私たち一人一人も、いいかげん変わらないかん」と、竹内さんは考えました。

世界は動き始めています。

米国は変われるか
バリ会議では、温室効果ガス削減の数値目標など、具体的な課題はほとんど先送りにされました。

それでも「バリ」の名は、地球環境史の上に、「キョウト」と並んで深く刻まれることになるはずです。

"ポスト京都議定書"の交渉に、米国を呼び戻した成果もさることながら、世界の温暖化対策が転換点を迎えた記念すべき場所として。

「ギアチェンジ。潮目は変わり始めています」

地球環境戦略研究機関気候政策プロジェクトのシニアエキスパート、水野勇史さんの感想です。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第四次報告書で展開した人類の危機的未来図に、政治が反応し始めたのかもしれません。

途上国グループはこれまでずっと、「削減義務は一切拒否」の姿勢を崩しませんでした。

ところがバリでは一部の国が、「途上国も行動する」という意思を初めて表明しています。

中国も、サイドイベント(関連行事)で政府に近い要人が「二〇三〇年より前に排出量のピークを設定し、そこから減らす」と明言するなど、交渉の表舞台とは裏腹の変化の兆しを見せています。

温暖化への警鐘を鳴らし続けてノーベル平和賞を受賞した米国のアル・ゴア前副大統領は、議場での特別講演で「国民が正しく判断すれば、米国も変わるチャンスはある」と訴えて、喝采(かっさい)を浴びました。

米国内では、気候安全保障法案が上院委員会を通過しました。二〇年に〇五年比で19%削減し、政府主導で排出権取引制度を創設するという野心的な内容です。

州レベルでは、東部のニュージャージー州が、五〇年に〇六年比で80%の削減を義務づけるなど、"削減競争"の様相です。

ポーランドでCOP14が開催される十二月には、次の大統領が決まっていて、その人は、京都議定書を離脱したブッシュさんではありません。民主党候補が当選すれば、議論の流れも、"ポスト京都議定書"に至る「バリ・ロードマップ(行程表)」の道筋も、一気に変わってしまうでしょう。

温暖化だけでなく、地球環境問題が転機の年を迎えています。

変わり始めた政治や政府をさらに動かす"風"になるのが、私たち一人一人の行動です。地域の小さな変革です。私たちも変わらなければなりません。

「チーム・マイナス80」に
竹内さんは、脱化石燃料、脱自動車型社会への転換により、名古屋のCO2排出量を60%減らせるという自らの試算に基づいて、昨年六月、学生と「チーム・マイナス60」を結成し、企業、行政、市民への提言を始めたところ。

バリから帰国後、竹内さんはその看板を「チーム・マイナス80」に書き換えました。

「それくらいやらんと、いかんでしょう」

ことしこそすべてが変わり、持続可能な新しい時代がひらけることを願いつつ。

コメント:

温室効果ガスが出るようになったのも科学技術の進展によるものだし、逆に温室効果ガスを出さないようにできるのもまた科学技術なのです


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くまにち.コム(2008年1月 3日 付)

記事:

熊本大(崎元達郎学長)は、一月、同大大学院の博士課程在学者や博士号を持つ有期雇用職員らを登録する「人材データバンク」を開設する。女性や若手研究者の企業への就職を支援する取り組みで、全国的に深刻化する「ポストドクター(博士号取得後)」問題を緩和する試みの一つとして注目される。

大学改革で大学院の定員が急増したことなどから、博士号取得者が常勤の研究職に就けず、非常勤の研究員などとして働くケースが増えている。

人材データバンクは、男女共同参画推進室やキャリア支援課などが連携して運営。十日ごろから対象者に周知し、氏名や年齢、研究分野、職歴などの登録を呼び掛ける。登録者には企業の求人情報を提供し、就職に関する講習会などへの参加を促す。

男女共同参画推進室によると、対象者は約二百人。同室の緒方洋子コーディネーターは「大学ばかりでなく、研究を続けられる企業もあることを知り、女性や若手に複眼的な視点を持ってもらいたい。さまざまな支援で企業との出会いの場を提供していきたい」と話している。

コメント:

ポスドクが高学歴ニートになっている現状は企業とポスドク双方の意識改革が必要だと思います


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中国情報局(2008年1月 2日 付)

記事:

日本企業が中国の人材を様々な形態で活用し始めていることは前回お伝えしたが、大手の自動車メーカーも、仲介会社等を通して大連理工大学など中国の理工系大学からソフトウェア開発の技術を持つ中国人を採用している。日本では理工系の学生や自動車関連の技術者が非常に少なくなっていることと、中国の技術者のレベルが向上していることが背景にある。

それでは、技術があれば日本への留学経験や語学力は問わないのだろうか。この点が悩ましいところだが、日系企業の方に聞くと、技術の場合は、特に日本語が話せるということが重要だという。それは、日本語で仕様書を理解できて日本語で打ち合わせできないと、日本にいる技術者とのコミュニケーションが取れないためだ。英語が堪能、或いは中国語が話せる日本の技術者は非常に少ないため、中国人技術者を活用しようとすると、日本語ができないと仕事が進まないのである。そのため、来日前に日本語研修を受けたり、日本に来てからも日本語研修等に時間を費やしているケースが多い。しかし、グローバル化が進むなか、日本企業が根本的に抱えているこうした言語面での問題は大きなネックになる。英語が話せる技術者を増やすための具体的な措置が求められる。

一方、就職する側としては、日本への留学生はこれまでは希少価値があったが、優秀な中国の大卒との競争が激化しているため、今後は留学したというだけではなく、専門知識・経験等も持っていないと、差別化が図れないだろう。日本に留学したというだけでプレミアムがついた時代は終わったのである。それでも、留学生には日本の文化や社会の背景が分かるという意味での付加価値があるため、採用する企業としては、優秀な留学生を採用して本社でコア人材として育成することが中長期的に重要な戦略となる。

ソニーが中国で実施している直接採用の場合、現地で採用した後は日本語を教育して、日本において、まさに日本人社員の隣で働くことになる。日本語研修は来日前に3カ月間現地の日本語専門学校で行い、来日後も企業内でフォローアップする体制をとっているという。

このように、日本人技術者にとっても国境のないグローバルな人材競争が現実になってきている。中国人の立場から見ると、日本から中国へ戻って就職する場合は、技術系の業務だけでなく、他の職種でも現地人材との競争になる。これらを踏まえて日本企業が留学生に望むのは、まず日本語が仕事で使えることである。留学生を本社で採用するとしても、大半の企業は将来的に中国に派遣することを考えている。その場合、日本の技術者や管理者と電話一本で日本語で相談できる環境を作りたい。それができればそのブリッジ人材を軸に現地化を進めることが可能になる。そのためブリッジになる人材には、当然、高い日本語力が必要になる。

次に、分野に応じて、生産技術、知財、広報、人事、マーケティング・ブランディング、営業などの専門性を身につけていることが重要になる。新卒では経験がないために難しい面もあるが、こうした専門性を意識して大学生活を送ることは大事である。もう一つは、日本の企業文化をきちんと理解し、ある程度長期的な視野で考えられる人物かということだ。日本語ができて非常に優秀な人でも日本の企業文化に馴染まないケースも多いため、企業側としても、採用面接の際には自社のビジョンや理念をきちんと伝え、応募者の考え方や自社への適性度合いを見ておく必要があるだろう。入社してからミスマッチが明らかになっても遅いのである。

コメント:

以前、僕が働いていた会社で中国人(中国ではかなり優秀な大学)を採用しましたが、結局教育がうまく出来ず、彼の能力も十分発揮できず。。。という記憶があります


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東奥日報(2008年1月 2日 付)

記事:

北海道工業大学(札幌市)が中心となって開発し、一昨年、地方大学として初めて打ち上げに成功した人工衛星「HIT-SAT(ヒット・サット)」が、一年以上を経過した現在も順調に軌道を回っている。この開発プロジェクトの中心となっているのが、本県出身で同大学准教授の工学博士・佐鳥新さん(43)。初めての衛星は十二センチ四方、重さ二・七キロと小さいが、実用化を目指す農業衛星打ち上げに向けた大きな一歩。研究から派生する「宇宙ビジネス」も大きな可能性を秘めており、全国的にも注目を集めている。

佐鳥さんは青森市の佃中学校、青森東高校から筑波大学に進み物理学を専攻、東京大学大学院で電気推進工学などを研究。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身・宇宙科学研究所で小惑星探査機「はやぶさ」搭載のイオンエンジン開発に携わった。一九九七年、北工大に移り、応用電子工学を教える傍ら、衛星開発プロジェクトチームを率いている。

衛星は北工大、北海道大学と民間の有志が設立した大学発のベンチャー企業「北海道衛星株式会社」が打ち上げた。一般に衛星開発は国家プロジェクトとして数百億円規模の費用がかかるが、ボランティアの協力などで約三百万円の開発費用に抑えた。

同社社長も務める佐鳥さんは「ヒット・サットは人工衛星の姿勢を制御するためのデータ収集が主目的だが、それ以前に打ち上げそのものが実験だった」と語る。三年以内に完成を目指す、実証衛星「大樹(たいき)1号」の予備実験という位置づけもある。大樹には地上から制御可能な画像センサー、高画質画像をレーザーで送信する通信機能を備え、十三センチ四方、重さ十五キロとなる見込み。最終的には五十キロ程度の衛星を目指す。

小学校教師で、理科が専門の父・毅さんの影響で幼いころから理科、特に天体に興味を持った。小学生の時に電磁誘導の実験を試みたり、高校入試の面接では「将来、UFOを飛ばしたい」と夢を語った佐鳥さん。今も「ワープ(空間移動)できる機械をつくりたい」と目を輝かせ、「小型衛星の分野で、日本は世界をリードするチャンスがある。企業を巻き込み、産学連携により北海道や青森県のように地理的に不利な条件でも産業・雇用創出が可能になる」と故郷の発展に思いをはせている。

◇資金協力を呼びかけ

佐鳥さんのグループは人工衛星の研究開発をさらに進めるため、基金を設置し本県を含めた幅広い層からの支援、協力を求めている。基金参加費(寄付金扱い)は一口一万円。問い合わせは事務局まで。メールアドレスはyamazaki@hit.ac.jp ※「@」を半角にしてください

コメント:

近いうちに秋葉原で売っている部品で衛星が飛ばせる時代が来るかもしれません。しかし民間レベルでここまでできるのはすごいですね


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教育マルチメディア新聞(2008年1月 1日 付)

記事:

平成23年度から施行される新学習指導要領の審議のまとめが11月9日公表された。「審議まとめ」は、次代を担う子どもたちの主要能力(キー・コンピテンシー)「生きる力」をはぐくむことを目的とし、外国語活動や古典学習、言語活動などあらゆる視点から「生きる力をはぐくむ」教育実現に向けた方策が考えられている。

また、知識の習得、活用は主として「教科」で担い、探究は主として「総合的な学習の時間」で担うという各教科と総合的な学習の時間との役割分担が明確になり、「総合」と「各教科」の連携が図りやすくなった。教育課程部会では引き続き審議を進め、1月中に中教審として答申を取りまとめ、小・中学校については今年度内の改訂を目指すこととしている。

なお渡海文部科学大臣は「平成23年度以前に先行して実施できるものについては、平成21年度からは「移行措置」に入ることを踏まえ、平成21年度から実施したい」旨述べている。文部科学省では、平成20年度に新しい学習指導要領について十分な周知を集中的に図った上で、平成21年度から「移行措置」に入ることが検討されている。特に今回の改訂では授業時数や教育内容を増加する教科があり、「移行措置」期間中に必要に応じ内容を追加して指導することを検討する必要があるとしている。

今回の『生きる力』は深化している
中教審委員・角田元良氏(聖徳大学)
今回の『生きる力』は深化している。

今回の「審議まとめ」では、「生きる力」を子どもに身に付けさせるにはどんな能力をどのように付けるか、その方策が明らかになってきている。

OECDなどの国際的な研究成果からも、習得した知識を活用して主要な能力(キー・コンピテンシー)である思考力・判断力・表現力を身に付け探究させることが『生きる力』の育成につながる、と理論的に裏付けられた。表現力・コミュニケーション能力は、国語科を中核としながらも、全ての教科で養うべき能力であることが明示された。

今回の「審議のまとめ」で、もう一つ注目すべき点は、条件整備をきちんと求めている点。このことは、教師が子どもと向き合う時間を確保し、どの子にも、きめ細かな指導をするための必要条件であり、「生きる力の共有」を担保するものでもある。

国と、設置者である地方自治体の首長や人事権を持つ教育委員会等は、これを重く受け止め反映するとともに、税金を納めている我々国民も、その成り行きを厳しく監視し、その結果を検証していかなければいけない。

審議まとめパブリックコメント1140件
「生きる力」はぐくむ「理念」評価 
新教科「科学と人間生活」

中央教育審議会では「教育課程部会における審議のまとめ」を公表、パブリックコメントを募集した。コメントは郵便、FAX、電子メールなどを含め、1140件寄せられた。うち898件が電子メールによるもの。また、教職員からは約6割弱にあたる655件の意見・コメントが寄せられた。

パブリックコメントの内容について、文部科学省教育課程部会の報告によると、学習指導要領改訂の基本的な考え方(「生きる力」をはぐくむという理念の継承等)については、賛成の意見が多かった。また、教員からは、現行の学習指導要領で理念が実現しなかった原因について様々な見解が指摘された。

理数や国語等の授業時数の増加については、賛成との意見のほか、単に授業時数を増やすだけではただちに学力向上にはつながらず、教育内容や指導方法の改善・充実、条件整備が必要との指摘があった。

総合的な学習の時間については、時数を縮減しつつ内容の充実を図るべき、廃止することも一方策、成果を見極めるべき、現行の授業時数を維持すべきなど様々な意見があったが、特に条件整備の必要性の指摘が多かった。

中学校の選択教科については、廃止すべきとの意見と総合的な学習の時間の一部を学校の判断で充てることを可能にすべきとの意見の双方があった。

小学校における外国語活動(仮称)の導入については、条件整備の必要性を指摘しつつ賛成する意見が多かった。

高等学校の必履修科目の在り方については、地理歴史及び理科において、様々な立場からの意見があった。また、理科の新科目「科学と人間生活」に対する期待を指摘する意見が出された。

道徳教育の教育課程上の在り方については、教科化すべきとの意見、現行の位置づけを前提に地に足のついた取組みを進める必要があるとの意見、社会がきちんと模範を示す必要があるとの意見があった。

―― コメントから
「日本はもっと科学力を強化する必要があるにもかかわらず一般の興味は離れていく一方。そこで、『科学と人間生活』は今の時代最も必要な科目。国際問題(宇宙、石油、エネルギー)、国内問題(防衛、経済)などのニュースを中心に、基礎教科とはまた違った角度で世の中を見るようなものにすべき」

「教科学習の授業時数を増加させるとしているが、必要性を唱えるだけでは実効性あるものにはならず、授業時数だけが増えてますます子どもたちの『ゆとり』は奪われることになる。課題追究型の学習にとって、それを支える体制作りが不可欠であり、単に授業時数を増やすのではなく、30人以下学級の実現等の条件整備を優先すべき」

「小中学校の教諭の残業が増加しており、子どもたちの指導に直接かかわる業務以外の業務に多くの時間が割かれている実態が明らかになっている。今現場に必要なのは、真にゆとりがあって、子どもたちが楽しく学べる環境。教職員にゆとりがなければ、どんな素晴らしい提言も意味がない」

「根本的な入試(卒業)制度の改革がなければ、学校教育の質も、保護者の意識も、企業の採用方針も旧態然とした状況を変えることは困難」

IICT環境整備で事務効率化を
経団連が意見書
育投資効果訴え

社団法人日本経済団体連合会教育問題委員会は12月5日、教育課程部会における審議のまとめに対するコメントを中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会へ提出した。

それによると、「教育現場が、子どもたちの理解や地域や保護者の期待を踏まえた授業の質の向上に取り組むためには、学校や教員の創意工夫を促す環境整備が不可欠」「人事、予算、学級編成、教育課程の編成などに関する学校(校長)、市区町村教育委員会の権限を拡大すべき」であるとし、「国・教育委員会は、教育現場が抱える問題を専門的見地から助言・支援するとともに、教員の指導力や校長のマネジメント力向上に向けた研修、先進的な教育実践の普及などの取り組みを強化すべき」と述べている。

また、「教育投資の拡大については、教育界がその質の向上や予算執行の効率化に最大限の努力を傾けることが大前提」とし、「教員一人当たりの年間授業時数は主要先進国に比して少ないにもかかわらず、子どもたちと向き合う時間の確保が難しい」現状から、「事務処理にかかわる教員の業務軽減、ICT環境整備による事務効率化、外部専門家の活用などを進め、教員の指導力や授業の質の向上への努力を支援」が重要としている。

各論については「『ものづくり』については、理科、算数(数学)との関係も切り離すことができない」「ものづくりの土台となる理科、算数(数学)と連携した教育の推進」の記述を追加すべき」「ICTに関しては、『活用』を中心に述べられているが、『インターネットの仕組み等を分かりやすく教えることが、ICTに対する興味・関心を深めることや、ICTの光と影を理解させるために重要』である旨を記述すべき」としている。

教育条件の整備」に反響
教師が子どもと向き合う時間」確保のために

新学習指導要領には多くの課題が盛り込まれている。「審議まとめ」には、「教師が子どもたちと向き合う時間を確保」するために、教職員配置、設備、教科書・教材、ICT環境の整備も含めた学校の施設など「教育条件の整備」が必要、としている。各関連団体からは「教育条件の整備」について期待が込められたコメントが多くあった。

◇   ◇

▽全国公立学校教頭会「今回よい方向に舵を切ったと思うが、この方向を推進するためには、教員数の増などの条件整備が不可欠」

▽全国公立小中学校事務職員研究会「教育条件の整備が重要であることが盛り込まれたことは画期的。学校マネジメント機能の強化のための事務職員の定数改善、学校での内部委任等の事務処理体制の強化、武道の必修化にともなう指導者の確保や施設の整備等の条件整備が必要」

▽全国公立高等学校事務職員協会「教科の指導の充実や事務処理の効率化のため、教員一人に一台のコンピュータを整備することが必要」「事務職員が教育課程の編成に携われるような能力の育成が必要であり、教員が参加するマネジメント研修に事務職員が参加できるようにすべき」

▽日本商工会議所「ICTを活用した授業は効果的。教員のICT活用能力の向上や学校のICT環境の整備を推進すべき」「教員の事務負担の軽減を図り、自己研鑽の時間を確保すべき」

▽全国連合小学校長会「少子化が進んでいるものの教員は諸課題の対応に追われ、児童と十分に関わる時間を確保しにくい状況にある。一人一人に対しきめ細かな教育を行うためには条件整備が必要」「全国学力・学習状況調査の活用については実施上の課題を分析し、その必要性や方法を常に見直すことが必要」「体験的な活動」は大切であるが、各学校により条件が異なるので、条件整備が必要」

▽財団法人全国高等学校体育連盟「教師の事務負担軽減を中心とした教育条件の整備が必要」

PISA2006と新学習指導要領
「科学への興味関心」早急な対応必要

OECD生徒の学習到達度調査(PISA2006)の結果が全世界で同時発表された。渡海文部科学大臣はこれについて「順位が下がったのは残念。成績の問題もあるが、1番気になったところは科学に対する子どもの関心が低下しているという結果」「学習指導要領が決まれば、できるだけ速やかにやれることからやるべき。今回のPISAの結果も踏まえ、どこからやれるのか、またどこがやれるのか、スピーディーに検討していきたい」と述べている。

文部科学省では「特に、今回のPISAの結果を踏まえると、先行して実施する内容としては、まずは指導内容の増加が見込まれる算数・数学、理科を対象として検討を進めていくことが必要」「基礎的・基本的な知識・技能の定着とPISA調査で重視している思考力・判断力・表現力等の育成の双方を車の両輪としてはぐくむことが重要」としている。

コメント:

時間数の増加だけではなく、中身とりわけ教師の質向上が求められています。そしていつも行っていることですが、遅い。本当に取り組みが遅いです。


出典:

南日本新聞(2008年1月 1日 付)

記事:

鹿児島人工衛星開発部会が製作した衛星の試作機=鹿児島市川田町 「鹿児島人工衛星開発部会」(部会長・西尾正則鹿児島大学理学部教授)が開発している鹿児島人工衛星(KSAT)の試作機が、このほど完成した。2009年春、海外からの打ち上げを目指す。

試作機は鹿児島市川田町の金型工場「東郷」で組み立て。一辺10センチのサイコロ型本体に、太陽電池パネル4枚とカメラ付き姿勢安定ブームを装備。1月から約2カ月間、振動試験や熱環境試験を行い、3月末に実際に打ち上げるフライトモデルが完成する。

KSATは、衛星が発した電波を複数の地上アンテナで受信し、大気中の水蒸気分布を調べ集中豪雨をもたらす雨雲の発生を予測する。

宇宙航空研究開発機構は06年度、08年夏に種子島からH2Aロケットで打ち上げる温室効果ガス観測技術衛星に相乗りさせる小型衛星を民間から募集。KSATは同時期の打ち上げを希望する13件の候補リストに登録されたが、07年5月の最終選考で落選した。

打ち上げるロケットが未定のまま開発は継続。現在、09年4-6月ごろ、ほかの民間小型衛星と共同で、海外のロケットに搭載する方向で調整している。海外のロケットを利用する場合、打ち上げ費用が数百万円かかるため、今後は資金の調達が課題となる。

鹿児島人工衛星開発部会は、鹿児島大学の研究者や学生、県内中小企業の技術者らでつくる産学官連携グループで05年10月設立。

西尾部会長は「非常に満足な出来栄え。開発成果が形となり、打ち上げに一歩近づいた」と話した。

コメント:

小型衛星は日本が海外と戦える数少ない航空宇宙の分野ですね


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日本経団連タイムス(2008年1月 1日 付)

記事:

日本経団連は12月12日、都内で岸田文雄内閣府特命担当大臣との懇談会を開催した。岸田大臣は、わが国最初の知財戦略担当の特命大臣であり、日本経団連の知財関係幹部との懇談は今回が初めてとなる。

会合の冒頭、あいさつに立った榊原定征日本経団連副会長は、「『知的財産立国』をめざした取り組みにより、わが国は先進的な知財制度を持つ国になった。今後は、わが国の経験を国際的に役立てていく必要があり、政府としても、世界特許システムの実現に向けた取り組みや模倣品・海賊版対策など、新しい国際秩序の形成に向けて積極的な活動を推進していただきたい」と述べた。

続いてあいさつを行った岸田大臣は、「わが国では、知財戦略を国家戦略の一つとして位置付け、政府、産業界によって多面的な取り組みを推進し、着実な成果を上げている。しかし、技術進歩のスピードは速く、市場構造も釈的な変化を示している。わが国経済の国際競争力を維持し、持続的な成長を図るため、先般、分野別の知財戦略を取りまとめた。戦略では、知財政策の基本理念として、『技術』『市場』『制度』の三つのフロンティアの開拓を掲げている。政府と産業界が連携し、この『知財フロンティア』を広げ、知的創造サイクルをより大きく回転させていかなければならない」との基本的な考えを示した上で、特に、(1)環境技術に関する知財戦略への取り組み(2)国際標準化活動の強化(3)産学連携の推進――の3点について言及した。特に国際的な取り組みが必要とされている環境問題については、「わが国の環境技術をもっと世界に使ってもらい、環境問題の解決のために積極的に貢献していく必要がある」との認識を示し、産業界に対して、「国際貢献の観点を踏まえた知財戦略の取り組みについて検討してもらいたい」と提案した。その後、分野別知財戦略の内容について、素川富司知的財産戦略推進事務局長から紹介があった。

■意見交換
引き続いて行われた意見交換では、まず日本経団連側から発言があり、野間口有知的財産委員長から、「わが国の知財戦略への取り組みは08年で7年目となる。これまでの施策がどの程度イノベーションの促進に寄与したのか、ここで一度、総合的なレビューをしておく必要があるのではないか」との考えが示された。また、岸田大臣から提案のあった環境技術に関する知財戦略については、「企業競争力に影響がある場合や意図せざる技術の流出が起こってしまう場合を除いて、正当な対価が得られるのであれば、広くライセンスを行うことでわが国の技術を普及させ、世界の環境問題の解決に役立てるべきとの考えに賛同する」との見解を示した。

続いて、吉田信博国際標準化戦略部会長から、「産業界としても国際標準の重要性に対する認識をより一層深めていく必要がある。日本経団連では、『技術の国際標準化に関するアクションプラン』を策定し、啓発活動を推進している」との発言があった。

また、加藤幹之企画部会長からは、「オープンイノベーション時代においては、一つの企業だけで技術開発を進めることが難しくなっている。ネットワーク化の進展によって、技術者のコミュニティーや個人など、組織を超えてイノベーションが創出される動きもある。このような状況の中、大学にはさらなる知の発信が求められており、産業界としても連携に努めていきたい」との発言があった。

続いて、政府側から発言があり、素川事務局長は、「これまでの知財に関する施策のレビューについては、『知的財産推進計画2008』の策定に向けて、適切な評価のあり方を検討していきたい」と述べた。また、肥塚雅博特許庁長官からは、「世界特許システムの実現に向けては、(1)審査プロセスにおける情報交換(2)審査基準の調和(3)米国の特許法改正などを踏まえた実体的制度調和――の三つの方向から取り組みを進めたい」との発言があった。

最後に岸田大臣から、「本日の議論を通じて、知財戦略のあり方が経済活動に大きく影響することを実感した。また、環境技術に関する知財戦略のあり方について、わが国の環境技術を広くライセンスし、世界の環境問題の解決に貢献していくとの考えに、一定の条件の下で賛同いただいたことに意を強くした。政府としても、特許制度の国際調和や技術移転を促進するための施策の充実などに取り組んでいきたい」と述べ、引き続き産業界と連携して知財戦略を推進していくことを表明した。

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恥ずかしながら知財戦略担当の特命大臣というのをはじめて知りました。日本は保護の観点からも利用の観点からも知財関連の法整備が遅れているので、この点僕も勉強します


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日本経団連タイムス(2008年1月 1日 付)

記事:

日本経団連は12月18日、提言「高度情報通信人材育成の加速化に向けて-ナショナルセンター構想の提案-」を発表した。同提言は、現在、日本経団連の情報通信委員会高度情報通信人材育成部会(山下徹部会長)が中心となり、産学官連携の下に推進している高度情報通信人材育成の取り組みを、全国へと展開・加速するため、その具体的方策を取りまとめたものである。

情報通信技術(以下、ICT)は、わが国の企業活動および国民生活にとって不可欠なインフラであり、産業の国際競争力や安全保障等の国力に大きな影響を及ぼすまでになっている。しかし、産業界が求める高度ICT人材は釈・量ともに不足しており、日本の大学が輩出する人材との間に大きなギャップが存在している。

提言の第1章では、以上のようなわが国の現状を述べ、第2章では、こうした状況を踏まえた上での日本経団連と政府のこれまでの取り組みを紹介している。日本経団連は、2005年6月に公表した提言の中で、新たに「先進的ICT教育拠点」を設立することを提案した。そして、そのモデルを実証・確立するため、筑波大学、九州大学を重点協力拠点と位置付け、産学連携を進め、今年4月から、2大学の大学院修士課程において、産業界のニーズに対応した新たな高度ICT人材育成のモデルコースが開講の運びとなった。現在も、産業界から企業のトップ人材を教員として派遣し、コースの運営、カリキュラムや教材開発等を共同で実施し、大学教育では前例のない大規模な産学連携を推進している。

第3章では、このような高度ICT人材育成の取り組みを加速化し、全国に展開する上での課題について述べている。ICTが社会基盤を支える重要な役割を担っており、その人材育成が全産業分野の国際競争力に直結しているという認識が社会的に欠如していることを強調。その上で、産業界と大学側が抱える問題を指摘し、協力企業の自発的努力の上に成り立っている日本経団連の高度ICT人材育成の取り組みを持続可能にするための体制を、国家戦略として確立する必要があるとしている。

第4章では、その具体的方策として、日本経団連が推進している高度ICT人材の教育モデルを全国の大学に普及・拡大するため、推進母体となるナショナルセンターを設立することを提案している。韓国は、かつて金融危機に直面した時、ICT産業により国を立て直すため、政府自らがICT教育のナショナルセンターであるICU(情報通信大学)を設立し、優秀な学生を輩出する体制を確立しており、それが同提言のモデルにもなっている。

同センターでは、実践的ICT教育の研究、モデルカリキュラムの策定、大学と支援企業を結ぶハブとしての役割、教員の養成等を行い、これらの機能の有効性を実証するための場として、ICTと他の専攻を一緒に勉強できる融合型専門職大学院を附設することも提案している。

第5章では、ナショナルセンターと融合型専門職大学院の設立に向けたタイムフレームを提示し、準備作業への着手が急務であることを示している。

そして第6章では、同提言で提唱する教育体制を確立することが、ICT分野での国際競争におけるわが国の劣勢を挽回する方策であることを強調し、産学官の一致団結を呼び掛け、締めくくっている。

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中ではナショナルセンターと言っていますが、産学官の連携した取り組みが求められているということですね


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しんぶん赤旗(2007年12月28日 付)

記事:

政府は二十五日、日本共産党・石井郁子議員の「若手研究者の就職難と待遇に関する質問主意書」に対する答弁書を提出しました。

大学院博士課程修了者の就職難やポストドクター(博士号取得後に3―5年の短期契約で雇用された研究者=ポスドク)、大学非常勤講師など若手研究者の雇用の実態についての政府の認識が明らかになりました。

教員や研究者の採用について、大学や独立行政法人に対して「業務の実施に必要な経費について適切に対応」するとしています。また、ポスドク期間終了後の就職について、ポスドクを雇用する大学や研究機関が、ポスドクの「就職選択を支援するための取り組みを実施することは重要」と答弁しています。

答弁書の全文は、日本共産党のホームページ「国民の立場で大学改革を」のページに近く掲載されます。

石井郁子議員のコメント 答弁書は、科学技術基本計画をふまえて、若手研究者への支援を強めるとしていますが、現状から見ればきわめて不十分なものです。とくに、大学で雇用されるポスドクの社会保険加入率は43%と極めて低く、年収も三百万円以下が多いなど、不安定で劣悪な雇用条件におかれています。こうした若手研究者への抜本的対策が必要です。その実現のためにいっそう取り組みを強めたいと思います。

コメント:

ポスドクは教育機関への就職だけでなく民間企業への就職を支援する施策を打ち出して欲しいものです


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AFP(2007年12月28日 付)

記事:

今年11月、日米それぞれの研究チームが、ヒトの皮膚から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ることに成功したと発表した。さらに12月には別の研究チームが、鎌状赤血球貧血症を患ったマウスの皮膚から作成したiPS細胞を使った治療に成功したことを明らかにした。これらは科学者たちが長年夢見てきた大発見で、生物学の分野では「ライト兄弟の最初の飛行機」に匹敵するほどの大躍進だという。

幹細胞は体のあらゆる細胞に分化することができるため、病気の治療に大きな可能性を秘めており、損傷を受けたり病気になったりした細胞、組織、臓器の代わりに用いられることが期待されている。これまで行われてきた胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究は胎児に成長する可能性のある胚細胞を使用するため、倫理的問題が指摘されてきた。今回発見された技術では、その点が克服できる。

新たな技術の大きな利点の1つに、作成手順の単純さがある。4つの異なる遺伝子をヒトの皮膚細胞に導入することでiPS細胞が作成できるため、複雑でコストのかかるES細胞の研究と違い、通常の研究所でも作ることが可能だ。ES細胞の入手・利用は非常に難しかったため、この技術が発見されるまでは、病気がどのように進行するかを見るためには、動物か死体から取り出した臓器で研究せざるを得なかった。しかし、皮膚、組織、臓器由来のiPS細胞はシャーレで簡単に作れるため、病気の治療法を研究するプロセスとなる病気細胞の遺伝子構造の解明を容易にした。また、病気の治療に効果的な薬物を特定する化学スクリーニングへの利用も可能となり、人命を救う新薬販売までの期間を大幅に短縮することが期待される。

皮膚由来のiPS細胞の利用は、最終的には特定の患者の遺伝情報を有する幹細胞の作成を可能にし、移植された組織や臓器の拒絶反応をなくすことができるとみられている。これはすでに鎌状赤血球貧血症を患ったマウスでは成功が確認されている。また、実験につかったマウス自身の細胞を使用したことから、拒絶反応を抑制するため危険を伴う免疫抑制剤を使う必要もなかったという。

一方で、幹細胞研究の第一人者たちは、皮膚由来のiPS細胞はまだES細胞の代替にはなっておらず、今後もならないかもしれないと指摘する。ヒトの皮膚からiPS細胞を作ることに成功した研究チームの1つを率いる米ウィスコンシン大学(University of Wisconsin)のジェームス・トマソン(James Thomson)教授は「この新しい研究はまだ始まったばかりで、われわれはこれらの細胞がどのように機能するかほとんどつかんでいない」と語る。「いまはES細胞研究を放棄する時期ではない」と述べ、ES細胞は依然、ほかの研究を評価するための「重要な基準」だと付け加えた。

今後は、皮膚由来のiPS細胞をより安全に作る研究を進めるとともに、iPS細胞が時を経ても劣化しないことを確認する必要がある。

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今年の一大ニュースでしたね


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文部科学省(2007年12月27日 付)

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 科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業(平成18年度採択機関)について、中間評価を実施しましたので、結果をお知らせ致します。また併せて、特に優れた取組内容について紹介致します。

1.事業の目的
 科学技術と社会の関わりが深化・多様化する中で、博士号取得者等の高度な専門性を有する人材が、大学等の研究機関以外の多様な方面へ進み、その能力を活用することが期待されています。本事業は、大学、企業、学協会、NPO等がネットワークを形成し、人材と企業の交流・情報発信、ガイダンス等の実施、派遣型研修など、ポストドクター等の若手研究者のキャリア選択に対する組織的な支援と環境整備を行う取組を、国から委託して実施するものです。

2.中間評価について
 本事業では、専門家や有識者により、事業の進捗状況や成果等を確認し、適切な助言や改善点の指摘を行うことで、事業の効果的な実施を図り、その目的が十分達成できるよう事業実施機関の体制運営について適正を図ることを目的として、事業開始後2年目である機関を対象として、中間評価を行うこととしています。
 今年度は、平成18年度に採択された8機関を対象として、科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業企画評価委員会(座長:小林信一 筑波大学ビジネス科学研究科大学研究センター教授)において中間評価を行い、別添のとおり評価結果を取りまとめましたので公表致します。

3.特に優れた取組内容について
 企画評価委員会において、本事業での成果を広く普及させることを目的として、平成18年度に採択された機関の取組の中より選定した、特に優れた取組を添付(PDF:1,056KB)いたします。

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今日たまたま、高学歴ワーキングプアという本を買いました。あふれるポスドク問題、なんとかしないといけないですね。


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JANJAN(2007年12月27日 付)

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今年4月から日本発・世界最初のコンセプト「元素戦略」が動き出している。文部科学省が実施する事業「元素戦略プロジェクト」と、経済産業省実施の事業「希少金属代替材料開発プロジェクト」だ。本年度の採択研究は、前者で7テーマ、後者で5テーマが進行している。20世紀に飛躍的に発展した「物質科学」の研究は世界中で行われているが、これを資源問題や環境問題に結び付け、戦略化した点が「日本らしさ」であろう。

stock.xchngより 自動車や電気製品などに組み込まれている電子部品には、インジウム、ゲルマニウム、レニウムなどの希少金属(レアメタル)が不可欠。これらの鉱物は原油と同様に、その資源獲得のグローバル競争が苛烈となり、我が国のような輸入国にとってアフリカ、中央アジアの産出国との協調は重要課題だ。エレクトロニクス分野の最先進国である我が国にとっては、産業の存亡をかけた問題である。これも一つの「資源安全保障問題」と言える。

「成長と改革の予算」と銘打った来年度政府予算案の中にも「レアメタル対策の推進」として48億円が盛り込まれている。資源国と共同での鉱山開発や、国内での再利用や代替材料の開発に取り組むための予算である。その金額は項目に挙げられているだけでもマシという程度ではあるが......。この国家プロジェクト「元素戦略」で注目される点は、学者サイドが役所を動かし、国の政策に採り上げさせたことである。

専門雑誌「化学」12月号に「動き出した元素戦略」が特集されている。大阪大学の村井眞二名誉教授が「元素戦略!! 化学の力の夢舞台」と題し、巻頭言を書いている。この分野の日本を代表する研究者たちが、それぞれに熱い思いを語っていて、読んでいくうちに「頑張れ!」と声援を送りたくなる。

「元素戦略」が生まれるきっかけは、2004年4月の箱根ワークショップ「物質科学の未来戦略」に遡る。そこでは従来の「何々のための物質科学」でなく「物質科学の先導する何々」に発想を転換した議論が交わされた。

京都大学の玉尾皓平名誉教授の「元素科学」に基づいて、東京工業大学の細野秀雄教授の「ユビキタス元素戦略」と、それを広げた東京大学の中村栄一教授の「元素戦略」に結びついた経緯がある。「箱根会議は物質科学の歴史を変えた日であった」と玉尾教授は語っている。

註:「ユビキタス元素戦略」はクラーク数上位10位にある日本でも容易に確保できる豊富な元素で希少金属材料を置き換えようとするプロジェクトである。これが実現すれば日本の深刻な課題である「希少資源の確保」は解消する。(クラーク数とは、地殻中に含まれる元素の割合を重量%で表示したもので、1位酸素、2位ケイ素、3位アルミニウム、4位鉄、5位カルシウム、......)。

元来、日本の「物質科学の研究」には強い伝統が根付いていて、「光触媒のチタン」、「青色発光ダイオードのガリウムナイトライト」、「高活性遷移金属触媒」、「銅系高温超伝導酸化物」など世界に誇る数多くの発見発明がある。

日本の化学者たち、特に中堅・若手の研究者たちは、国家プロジェクト「元素戦略」の遂行に当たり、「何も出なかったら困りますね」と言いながら情熱を燃やしている。「思いもかけない大発見」のロマンを追いかけつつ「化学の醍醐味」を堪能しているようだ。

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雑誌事態は見ていないですが、元素戦略が進んでいるということでうれしい限りです


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広島経済新聞 (2007年7月20日 付)

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対話イベント「サイエンスカフェひろしま『夏の星空カフェ』」が8月9日、広島市役所(広島市中区国泰寺町1)本庁舎屋上庭園で開催される。主催は、広島市科学技術市民カウンセラー連絡会議と広島市。

サイエンスカフェとは、市民と科学者(専門家)が交流することで科学の現状と課題を考えることを目的に1990年代後半に英国でスタートしたもの。お茶を飲みながら科学者と双方向で「気軽に」語り合うスタイルが特徴。科学技術を身近に感じてもらうのが目的。

2007年12月よりスタートし5回目を迎える今回の企画のテーマは、「望遠鏡で見る星空とバーチャル宇宙旅行」で、専用のメガネをかけて立体映像などを見てもらうという。野外での実施は初の試み。

「参加者の年代は高校生からと幅広い」と広島市経済局担当者。参加方法は、8月1日8時30分から電話受付を行う。定員は先着25名。開催時間は18時~20時で、参加費は250円。

昨年4月には、日本学術会議主催でサイエンスカフェが全国21カ所で開催された。「近年では大学やNPOなどで開催され広がりを見せている」(日本学術会議事務局担当者)という。

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サイエンスカフェ、身近になるといいですね


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日経BP(2007年7月19日 付)

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文部科学省と経済産業省、内閣府は2007年7月13日に「元素戦略/希少金属代替材料開発 第2回合同戦略会議」を東京都千代田区で開催し、「元素戦略プロジェクト」の採択案件7件と「希少金属代替材料開発プロジェクト」の採択テーマ5件をそれぞれ発表した。

希少金属資源などの最大の輸入国である日本は、希少金属原料や素材の高騰や入手困難などの資源問題を根本から解決する産学官プロジェクトとして、文科省が「元素戦略プロジェクト」、経産省が「希少金属代替材料開発プロジェクト」をそれぞれ今年度から始める。自動車や電機製品などのキー部品製造を確保する、日本の今後を懸ける研究開発テーマが出揃った。

元素戦略審査検討会の主査を務めた東京工業大学の細野秀雄教授は「元素戦略プロジェクトのテーマ選定のポイントは、学術面で優れた提案であることに加えて、企業と産学連携体制を組んでおり、研究開発目標が明確なもの」と説明した。「それぞれが、かなり挑戦的な研究開発テーマであるだけに、研究開発目標を数値として明確化し、途中の中間評価時点で目標値が達成できない場合は、中止も十分にあり得る」と明言した。

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素材の値上がりが最近激しいですね。こういった試みはあまりなかったのでうれしいですね。


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WIRED_VISION(2007年7月18日 付)

記事:

人間の表情を読み取るプログラムが、マーケティングを一変させるかもしれない。

オランダの研究者グループが、そんなソフトウェアを利用した消費者テストを実施した。その結果は、女性の笑顔を引き出すには甘い食べ物が最も確実だという、すでによく知られている話を補強するものだった。

このテストでは、ヨーロッパの6ヵ国の女性300人について、5種類の食品を食べている様子が撮影された。バニラアイスクリーム、チョコレート、シリアルバー、ヨーグルト、リンゴ。意外ではないが、女性たちは、アイスクリームとチョコレートに対して最も幸せそうな表情を浮かべた。

女性は一般に男性より表情豊かな傾向がある。大学、商店街、街の中心部で、被験者となる女性を選んで、食品によって表情がどう変わるかを調べるテストが行なわれた。まずボランティアの参加者が食品を食べている様子が記録され、次に感じたままに表情を「作って」もらい、対照用のはっきりとした表情が記録された。

企業のマーケティング担当者は、何が消費者に喜びを与えるのかを知る判断に、テクノロジーを導入しつつある。

食品と消費財を扱う巨大企業のUnilever社は、われわれがアイスクリームに歓喜の声を上げる理由を、脳スキャンを使って明らかにしたことがある。同社はオランダのアムステルダム大学理学部のソフトウェア開発者、Theo Gevers氏とNicu Sebe氏が『モナ・リザ』の微笑を解読した研究を知り、2人を雇い入れてヨーロッパでテストを行なうことになった。

Unilever UK社の消費者研究員Mandy Mistlin氏は、「アイスクリームが本当に喜びをもたらす食品だということはわかっている。今回はその裏付けのためにテクノロジーを利用した」と述べた。

Mistlin氏によると、いずれは脂肪分やカロリーを抑えたアイスクリームについて、このソフトウェアでテストを行ない、アイスクリームの「喜びの法則」から外れずにいられるか確認することになるだろうという。

この種のソフトウェアは、市場調査のあり方を一変させるかもしれない。

最近、チャリティー広告における顔の表情の効果について調査した、ペンシルベニア大学ウォートン校のDeborah Small助教授によると、こうしたテクノロジーは相当盛り上がっているという。重要なのは人間の反応を予測できるほどにまで性能を高められるかどうかだと、Small助教授は言う。

ところで、どのようにしてソフトウェアで感情を分析するのだろうか。

微笑んだり顔をしかめたりするときには、顔面の小さな筋肉がたくさん使われている。感情認識ソフトウェア(ERS)では顔の3Dマップを作り、目もとや口もとなど、表情のトリガーとなる12の主要エリアを定める。

次に、表情を追うアルゴリズムが、各エリアの動きを、怒り、悲しみ、恐怖、驚き、嫌悪、幸せという、基本となる6つのパターンやその組み合わせと突き合わせる。

今回の味と表情のテストで使われたERSは、マサチューセッツ工科大学(MIT)やカーネギー・メロン大学によるプログラムの遠い親戚にあたる。ただ、オランダの研究者によるこのソフトウェアは、標準的なパソコンとウェブカメラを使いリアルタイムでテストでき、商用アプリケーションにすることを念頭に作られている点が異なっている。

「テストを終えて満足を感じた。ものを食べている人をソフトウェアでテストするのは、研究室ではやったことのない挑戦だった。どの程度うまくいくのか正確にはわかっていなかったが、うまくやれた」とGevers氏は話す。またGevers氏は、市場調査で障害になるものとして文化的な違い(ドイツ人はポーカーフェイス、イギリス人は感情を表さない)を挙げた。

予想されるように、健康食品を食べたときは、記録できた笑顔の数が少なくなった。リンゴでは87%がどっちつかずの表情で、イタリア人とスウェーデン人に至っては、リンゴを食べると失望が記録された。ヨーグルトも笑顔がいっぱいとは行かず、ヨーロッパ人の28%が「悲しみ」の表情をした。

モネッリ化学感覚センターの心理学者Marcia Pelchat氏は、「私たちが甘い食品を喜ぶようにできているというのは、ある程度正しい。しかし、体に良いものを楽しむことを学び、何が好きかと、何が欠けているかを区別して考えることもできる」と話している。

人を駆り立てるものを見つけ出すのに、訓練を積んだ人間の観察にコンピューターが取って代わることはおそらくないだろう。特定の食物への渇望の研究に機能的MRI(磁気共鳴映像法)を活用しているPelchat氏も、行動研究が依然として研究の「判断基準」だと話している。

「被験者が目の前の状況を十分に知覚できない場合や、知覚しても隠そうとする場合は、テクノロジーが助けになる。しかし、テクノロジーだけで済むようにはならない」とPelchat氏は言う。

もう、無防備に表情をさらしてはいられない状況なのかもしれない。Gevers氏とSebe氏は、ERSについて豊富なアイデアを持っている。8月には一般ユーザー向けに、簡略化されたERSが発売される。秋には『Glad or Sad』というサイトが作られ(www.gladorsad.com 現在はまだアクセスできない)、ユーザーから提供された1日最大1000枚の写真が分析されることになっている。

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笑うと撮れるカメラが発売されるみたいですが、喜びを定量的に量れるのは画期的ですね。応用が利きそうな技術です


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Tech_on(2007年7月17日 付)

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化粧品メーカーの日本ロレアルは2007年7月13日,第2回「ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞」の発表・授与式を日本工業倶楽部会館で行った。同賞は,日本ロレアルと日本ユネスコ国内委員会が,日本の若手女性科学者を支援する目的で設立したもの。今回は,物質科学,生命科学の分野から計5人が選出され,それぞれに賞状と奨学金100万円が贈られた。前回の受賞者は両分野で計3人だった。

物質科学分野から選出されたのは,東京大学大学院の神谷真子氏(26),北海道大学大学院の作田絵里氏(27),名古屋大学大学院の三浦陽子氏(33)の3人である。生命科学分野からは,理化学研究所の黒田有希子氏(29)と 日本医科大学大学院の戸張靖子氏(29)の2人が選出された。

作田氏の女性科学者としての原点は,高校入学時にさかのぼる。見学した科学部の実験で,発光する液体に衝撃を受けたのだという。今回の受賞のきっかけとなったのも,ホウ素化合物の発光性についての研究。ホウ素原子を含む化合物は,平面的な構造をとり,電子が動きやすい。その特徴により低電圧での発光が可能になり,寿命の長い発光材料を開発できる可能性があるという。将来的には,有機EL素子や発光型センサへの応用が期待されている。

戸張氏の研究テーマは,カナリヤやジュウシマツといった小鳥の鳴き声に関するもの。小鳥は求愛のために鳴き声を複雑に組み合わせて「歌」を歌う。このため,メスよりもオスが歌の習得に優れているとされるが,特にジュウシマツは,オスとメスの間で歌の学習能力に大きな差がある。受賞のきっかけとなった研究は,その学習能力の差を,オスとメスの大脳構造の違いから説明したもの。同氏は幼いころから猫やインコ,カメなど様々な生き物に囲まれて育ったことが,動物の音声コミュニケーションに興味を持つきっかけになったという。

このほか,神谷氏はがん細胞のみを光らせる酵素の研究,三浦氏はハニカム格子(原子が蜂の巣上に並んだ結晶構造)の状態変化に関する研究,黒田氏は骨を吸収する役割を持つ破骨細胞の研究により,今回の受賞となった。

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研究を続けながら日本を盛り上げていってほしいです。


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Sankei Web(2007年7月17日 付)

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中国の大学界で最高峰の北京大学数学科学学院。17歳の1年生、甘文穎が国際数学オリンピック(IMO)大会で金メダルを獲得したのは昨年7月の大会だ。

「金メダルはほとんど中国からの参加者が取っている。取れなきゃメンツがないよ」。甘の自信は、国家のシステムで特訓を重ねてきたことに裏打ちされていた。金メダルへの道は湖北省・武漢の公立高校で始まった。父親は県政府職員。甘は小学生時代、「勉強は嫌いでも数学はできた。ほとんど満点に近かった」。父親は才能を見抜いた。数学オリンピックの新聞記事を読み、甘を湖北省で「数学ナンバーワン」と呼ばれる「武鋼3中」(高校)に入学させる。

中国では10月に約16万人の高校生が全国高中数学大会(試験)に参加する。国立の中国数学会は上位約150人を選抜した上、翌年1月の中国数学オリンピック(CMO)テストに参加させる。その大部分は大学に無試験入学できる資格を得るほどの英才だ。

1週間の「数学キャンプ」で25人に絞られ、4月には特訓班「国家集訓隊」へ。ここで2週間に6回のテストを重ね、IMOへのメンバー6人が最終的に決まる。代表6人は97年以降のほとんどのIMO大会で、4人以上が金メダルという驚くべき成績を残し、国別総合得点順位もほぼ連覇している。90年から参加の日本は過去10年間、昨年の7位が最高だ。

北京数学学校の趙●(●=木へんに貞)名誉校長は「数学は科学技術だけでなく、人類や文化に及ぼす影響も大きい。数学の人材が広がることで中国の発展に希望が持てる」と強調する。

確かに、徹底した中国の数学エリート教育は、理科系人材の創出につながっている。中国は理科系人材を育成することで、世界の科学技術をリードしたいと考えている。特に力を入れている分野の一つが、ソフトウエアだ。日欧米の大学や企業に大量の人材を出して勉強させているほか、中国に海外の有名大学や大手企業の研究所を誘致して、技術獲得と技能アップに余念がない。

甘も将来、米マサチューセッツ工科大で博士課程に進みたいとのビジョンを描く。一方、日本では若い世代の理科離れが深刻さを増している。(野口東秀)


ソフト開発まで外注

20年前なら、日本の数学者は国際数学オリンピック(IMO)をほとんど気にもしなかった。短時間のうちに器用に問題を解いていく技術を、真の数学の能力と取り違えると、本物の数学者を育てるためにはかえって有害であるからだ。

だが、今の日本では状況が変わった。「数学への関心を増すという観点から、IMOは有益と言わざるを得ないのではないでしょうか」北京大学や上海・復旦大学を訪れた経験を持つ北海道大学大学院准教授で数学者の本多尚文は、そう語る。数学そのものを構築していく本格的な最先端の研究分野で比べると、日本の数学は中国の数学の水準を上回る。しかし、日本の高校生たちの数学への意欲は薄らぐ一方である。

日本の数学者から見ると、中国の数学は実用重視に偏りがちだ。「学生の間では公式集の丸暗記に力が注がれ、その意味を考えることは二の次です。数学に対する文化がまったく異なっている」と本多は語る。「でも中国の学生たちは非常にハングリーでエネルギッシュです」中国の大学では、収入増と結びつきやすい理系の人気が高い。


中国が重視しているのがソフトウエア開発だ。欧米も10年以上前から、注目している。米IBMは1995年に中国研究センターを設立。2002年7月には、北京大学や精華大学などの主要6大学の優秀な学生に対して「天才孵化(ふか)計画」(Extreme Blue)をスタートさせた。学生を選抜しての英才教育だ。IT人材育成を目的とした中国各地のソフトウエア学院に資金を提供して関係強化を図っている。

これに対し、日本の若い人たちの理科離れは著しい。慢性的にIT人材が不足するとともに、大学での工学部人気が大きく落ち込んでいる。目的意識を持った学生が集まらない。1995年に約57万人いた志願者が2005年には約33万人に減っている。就職でもIT業界への人気が低下している。今の日本の若い世代には「新3K」として敬遠されるのだ。きつい・厳しい・帰れない-のKである。結婚できないのKとされることもある。

その結果、日本の企業は、インドや中国などの企業へソフト開発委託を加速させている。このままでは日本の自動車や家電製品を支えるソフトウエアの多くが中国やインドで開発されかねない。

現在、日本のソフトウエアの輸出入状況は、圧倒的に輸入超過で、輸出1に輸入10の比率だ。 当初は、安い労働力を武器にプログラミングの請負だけだったが、日本のIT人材の不足から、徐々にソフトの設計部分の開発をも発注することになり、中国にその工程をこなせる人材が多くなっている。

現代は自動車、家電、飛行機などにとどまらず、企業の財務・生産管理に至るまでコンピューターソフトによって制御されるシステム社会だ。IT産業がグローバル競争の要である限り、IT人材の育成が国際競争力の鍵を握る。

NTTデータの山下徹社長は「日本は技術立国をめざしてきたのに、それさえ危うくなっている。海外へのアウトソーシング(外注)によって技術だけでなく、これからの産業の根幹となる重要なソフトウエア開発を外国に委ねてしまう」と警鐘を鳴らす。そこに日本の真の脅威が内包されている。

コメント:

記事通りとしたら、国家として危機意識をもたないとだめですね。


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不明(2007年7月12日 付)

記事:

昨年9月に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」の開発に携わった国立天文台の男性教授が、文部科学省の科学研究費補助金(科研費)などを目的外流用していた問題で、同天文台の上部機関の自然科学研究機構は12日、この教授を戒告処分とした。

同天文台によると、教授は1997年から2005年にかけ、科研費計約422万円を研究を手伝う大学院生のアルバイト代に当たる「謝金」名目で受給していたが、実際には研究に伴う大学院生の学会出張旅費などに充当。さらに、研究者の結婚式の祝電代(938円)や、神社への実験成功祈願料(8800円)にも充てていた。

コメント:

昔は許されていたのでしょうが、今は許されない時代ですね。ただ、研究付随してかかるお金の問題をどう解決するかの根本的解決策は提示されていないですね


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Nikkei net(2006年12月27日 付)

記事:

東京大学は27日、遺伝子研究に関する研究論文で不正をした疑いをもたれていた多比良和誠・工学系研究科教授(化学生命工学)と実験を担当した川崎広明助手の2人を同日付で懲戒解雇処分にしたと発表した。東大の懲戒処分のなかで最も重く、浜田純一副学長は記者会見で「捏造(ねつぞう)は確認できなかったが、論文に信ぴょう性や再現性は認められない。科学研究の根幹にかかわる問題で厳しく処分した」と説明した。

東大によると、問題となったのは多比良教授が英科学雑誌「ネイチャー」などに発表した遺伝子研究に関する4本の論文。多比良教授らから提出された実験データを検証したが、4本とも信ぴょう性や再現性(実験を繰り返しても同じ結果が出る)がなかったため、学内の懲戒委員会が処分を検討していた。

懲戒委は多比良教授は「研究室の最高責任者として指導監督などを怠った」と指摘。川崎助手は「実験ノートを記録しないなど論文作成者として守るべき義務に違反した」とした。

コメント:

最近こんな話題ばかりです。。


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asahi.com(2006年12月26日 付)

記事:

小中学生の理科離れを防ごうと、お茶の水女子大学(東京都文京区)が東京都北区と協定を結び、小中学校の理科の授業をサポートしている。講師たちが電子顕微鏡などを持ち込み、ミクロの世界を子どもたちに堪能させる。先生も大学側の助言を得、「理科の授業の研修」として授業を進めている。子どもも先生も学べる一石二鳥の試みだ。

11月末、北区西ケ原1丁目の区立滝野川小学校で、4年生の理科の授業が始まった。お茶の水大非常勤講師の宮本康司(こうじ)さん(31)たちが顕微鏡を持ち込み、準備している。生き物や植物の様子を拡大して調べるのがテーマだ。

お茶の水大と北区が「相互協定」を結んだのは、04年3月。子どもたちの理科離れを心配していた同区の高橋哲夫教育長が、知人の同大サイエンス&エデュケーションセンター長の千葉和義教授に持ちかけ、実現した。廃校を利用した土曜日の実験教室なども盛り込まれている。「出前授業」はこの7月から始め、区内の小中学校計8校で実施、来年3月までにさらに計3校で行う。

この日の授業では、児童はサクラの芽やタンポポの綿毛を虫眼鏡で観察した後、1人に1台用意した顕微鏡で拡大。「でけー」「ありえなーい」と歓声が上がった。

「もっと小さな世界も見られますよ」。同小の大貫淑子先生(50)が、電子顕微鏡でとらえたカマキリの卵を見せる。「この大きさが、実際の1ミリです」と手で示すと、「えー!」。驚きの声が上がった。

「子どもの興味を引くには、未知の世界を見られる顕微鏡が必要」と宮本さんは話す。待つ子が出ないよう顕微鏡は人数分そろえ、高倍率の電子顕微鏡を活用する。

しかし宮本さんらは、使用法を説明するだけ。授業の進行を務めるのはいつも通り大貫先生だ。同小の林四郎校長(58)は「小学校の教員は文系出身が多い。理科の授業に『恐怖感』を抱く人が目立つ」と指摘。この取り組みにより「大学側と事前に打ち合わせをしてから授業に臨むことで、進め方を学べる」と説明する。

大学側が小中高校の出前授業をする例は各地で広がっているが、宮本さんによると、大学の教員が出前授業に訪れると、現場の先生は見ているだけになりがちだという。「先生が実験のやり方などを覚えれば、継続して中身の濃い授業が出来る」と意義を語る。

林校長は「理科は人間生活の土台となる教科。児童も教員も、大学のノウハウを吸収出来れば」と話している。

コメント:

驚きって大切ですよね。興味につながります。そして何よりも大切なのは先生が授業の仕方を知れることですね。


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asahi.com(2006年12月26日 付)

記事:

福岡県内の高校生らを対象にした調査で、女子は男子と比べ、理系科目に苦手意識を持つ傾向が強いことが、福岡市のNPO法人「福岡ジェンダー研究所」の調査でわかった。中学時代の理科実験の中心的役割は男子が担うケースが目立つなど、女子が理系分野に劣等感を抱きやすい現状も浮かび上がった。

福岡県男女共同参画センターから調査を委託された研究所が05年11月、福岡県内の6高校8クラスの約2千人や保護者を対象にしたアンケート、大学生や大学院生に対するグループインタビュー、技術職に就いた女性へのインタビューなどを実施した。

高校生に、芸術や家庭も含む16科目について得意か苦手かを尋ねたところ、得意は「理科(物理)」は女子5.6%、男子22.3%、「数学」は女子34.8%、男子46.4%で、理系科目では男子の方が高かった。

中学時代の理科実験での役割については、「実験器具を使って、実験の中心となった」が、男子は52.6%と過半数だったが、女子は38.8%にとどまった。

一方、理系と文系の女子高校生を比較すると、「子どもは3歳までは母親が家庭で育てたほうがよい」という質問項目で「とてもそう思う」と答えたのは、理系志望で27.5%と文系志望の20.8%を上回り、性別役割意識は理系志望の方が高かったという。

保護者は、娘に対し「理系への進学を望んでいる」が47.5%で、「文系への進学を望んでいる」より7ポイント高く、娘の進路に理系を希望する保護者が目立ち、資格取得志向も強かった。

調査研究報告書についての問い合わせは、同センターあすばる(092・584・1261)まで。

コメント:

性別役割意識は理系志望の方が高いということは、結果的に女性研究者は定年までいることが少ないのでしょうか。また、中学時代の実験の主体性との係わりは面白い結果ですね。


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Nikkei net (2006年12月21日 付)

記事:

「実験データがあると言うが裏付けるものがない。調査の結果、不正だったと確信している。反省の色も見られない」。記者会見で馬越佑吉副学長は、強い口調で杉野教授を批判した。

国立大学の法人化をきっかけに、大学同士の競争を促す一方で、大学の透明性や公正さが一段と求められる中、不祥事に対して厳しい姿勢に転じる傾向が強まる。

京都大は今年3月、大学の承認を受けずに企業から研究費などを受け取った教授を懲戒解雇にしたほか、早稲田大は10月、国の研究費を不正受給した理工系教授を1年間の停職処分に決め、辞職させる方針を表明した。

個々の研究活動は著名な専門誌に載った論文の数で評価され、研究費に反映される。国は優れた研究に手厚く配分する競争的研究費を増やしており、論文の改ざん・捏造は国費の不正利用に直結する。大学のイメージを著しく損なうことになるだけに、大阪大は懲戒解雇というより厳しい処分を下した。

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論文捏造、大阪大教授を懲戒解雇

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モラルが問われています。


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asahi.com (2006年12月20日 付)

記事:

大阪大生命機能研究科の杉野明雄教授(63)が米国の専門誌に投稿した論文のデータを捏造(ねつぞう)していた問題で、同大学は20日、杉野教授を同日付で懲戒解雇処分にしたと発表した。処分理由について「科学者として決して行ってはならない著しく反社会的な行為をした」などと説明している。

問題の論文は、米国の生化学誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」に7月に掲載された2本で、酵母菌を使ってDNA複製にかかわる酵素の働きを調べたもの。

共著者の助手らがデータ改ざんに気づき、生命機能研究科の研究公正委員会に申告。同科は今年9月、杉野教授が単独で捏造や改ざんをしたと認定し、「懲戒解雇が相当」とする処分案をまとめていた。

杉野教授は処分案について不服を申し立てたが、同大不服審査委員会は「決定は妥当」との結論を出した。これを受けて同大学の理事や学科長らでつくる教育研究評議会が同日懲戒解雇を決めた。

同大学は、杉野教授が02年に同じ専門誌に発表した別の2論文についても不正の疑いがあるとして調査している。

会見した馬越佑吉・副学長(研究推進担当)は、「大学をあげて研究公正の強化に取り組むさなか、大学の名誉と信用をおとしめた」と説明した。

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阪大教授、ほかにも疑惑──論文データ改ざん

コメント:

仕方ない、というか当然だと思います。


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プレスリリース(2006年11月20日 付)

記事:

日本経済成長の原動力となるイノベーション創出へ向け、産学官のトップが講演や意見交換を行うシンポジウム「第6回産学官連携サミット」(内閣府や日本学術会議など主催)が11月20日、東京都千代田区の赤坂プリンスホテルであった。シンポジウムでは、元スタンフォード大学副学長のウィリアム・ミラー氏や日本経団連副会長の庄山悦彦氏による講演のほか、ベンチャーキャピタル社長らが参加したパネルディスカッションが行われた。

内閣府特命担当大臣(科学技術政策・イノベーション)の高市早苗氏による基調講演の後、ミラー氏が「海外のイノベーション政策」と題し、スタンフォード大学の産学連携活動などに関する特別講演を行った。同大学の技術移転機関(TLO)は1970年、米国では初めての学内移転機関として設立。1969~1980年に400万ドルだった同大学のライセンス収入は1991~2003年には5億5000万ドルにまで急増したが、現在のライセンス収入の相当部分が初期の発明によるもので、7つの発明で約7割の収入を稼いでいる。同氏は、技術移転は長い時間をかけてやっと収入が得られるものだと指摘、学術的な研究と産業界との協力のバランスが重要であり、同大学では人事において学術的な寄与のみを基準にしていると説明した。また、シリコンバレーとの協力体制としては、明確なビジョンを持つベンチャー企業を同大学内の工業団地に誘致しているほか、会社員らがパートタイムで学べるさまざまな教育プログラムを同大学が行っており、こうしたプログラムを通じてさまざまなベンチャー企業がスピンアウトして起業している。ミラー氏は、シリコンバレーの産学連携で「グローバル・リンケージ」が躍進の鍵となっていると話し、多国籍の研究者らが母国と密接な関係を維持することが、企業の成長にも大きく役立つと指摘した。

続いて庄山氏が「イノベーションの加速に向けて」と題し講演。同氏は、イノベーションを加速するためには、科学と技術、実社会との共鳴を促進し、イノベーションを支える人材を育成する「ボトムアップ・アプローチ」と、戦略重点科学技術をベースにしたイノベーションを推進する「トップダウン・アプローチ」があると述べた。ボトムアップ・アプローチでは、真理の探究と実社会の発想が融合する場を設定することが重要であり、その例として、東北大学と日立製作所の「垂直磁気記録技術」における技術交流を紹介。イノベーションを支える人材の育成のために、複数の領域で専門性を持つ「π型人間」が必要であると指摘し、インターンシップの制度的拡充などが必要であると述べた。「トップダウン・アプローチ」においては、研究開発と知的財産・国際標準化の一体的取り組みや、政府部門による新技術の活用が有効であると述べた。

パネルディスカッションには、内閣特別顧問の黒川清氏をモデレーターに、東京大学総長の小宮山宏氏、静岡県知事の石川嘉延氏、元インテル会長でモバイル・インターネットキャピタル社長の西岡郁夫氏ら5人のパネリストが参加。地域資源を活用した産学連携の在り方や、技術系ベンチャー育成などをテーマに、活発な意見が交わされた。

コメント:

お互いの利害関係は一致するはずです。積極的に交流することが意味ある協力につながる気がします


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Yomiuri Online (2006年10月26日 付)

記事:

安倍首相の諮問機関「教育再生会議」は、25日から本格的な議論に入った。分科会もできるが、何に重点を置くのか、必ずしも明確ではない。(解説部 中西茂)

◆見えにくい方向性 「非公開」が拍車

2回目となる同日の会合で、「学校再生」(第1)、「規範意識・家族・地域教育再生」(第2)、「教育再生」(第3)の3分科会の設置が決まり、17人の委員は第1、第2のどちらかに所属、第3は制度面を含めた総合的な議論の場とすることになった。

一方、再生会議の発足とほぼ同時期から、北海道や福岡で、いじめを苦にした小中学生の自殺がクローズアップされ始めた。再生会議では、再生が必要な象徴的な例として、この問題を取り上げようという姿勢がうかがえる。文部科学省の小渕優子政務官に続いて、再生会議事務局長である山谷えり子首相補佐官と、委員の1人でもある義家弘介担当室長が同日、現地調査のため福岡入りした。

確かに、いじめを巡る北海道や福岡の事例では、教師の資質や教育委員会の指導体制が問われている。だが、「いじめられる側がいじめだと感じたら、それはいじめだ」という鉄則が無視され、校長が教師の責任について遺族の気持ちを逆なでするような発言をするような事態から、何をくみ取るのか。それによって、再生会議での議論も変わってくる。

再生会議の主要テーマとされるものの一つに、教員免許の更新制が挙げられている。安倍首相が公約にも掲げた。

ただ、更新制は、すでに文部科学省の中央教育審議会による答申を受けて、法案化に向けた作業が進んでいる。答申にあった更新制では、不適格教員を排除できないという指摘が強い。

では、免許更新という制度の中で、不適格教員を排除するためにはどんな方法があるのか。来年1月の中間報告に向けて、中教審答申に盛られた制度にどう修正を加えていくのか、それとも別の形で排除する方法を強化するのか。それは「これからの議論」(山谷補佐官)だ。

会議後の説明を聞く限り、この日の議論ではまだ、「義務教育とは何か、何を教えるのかといった共通認識が必要ではないか」「社会人を教育の場に積極的に登用すべきではないか」といったように、入り口に立った意見も少なくなかったようだ。「大学や大学院のあり方も真剣に討議していきたい」という発言もあり、議論の幅はかなり広いという印象を受ける。

方向性が見えにくい理由の一つに、会議の非公開がある。詳細な議事録の公開を前提にしてはいるが、会議当日は15分か20分ほどの会見で、会議での発言内容が説明される程度だ。

そもそも、政府の審議会は原則公開となって久しい。経済財政諮問会議など、非公開の会議もあるが、かつてはすべて非公開だった中央教育審議会の審議は、いまでは100%公開されている。それで支障が出たという話は聞いたことがない。

再生会議の野依良治座長は初会合のあった18日、「私は科学者ですが、事実は真実の敵という。議論の内容を理念的に伝えることが重要だ」と、ミュージカル「ラ・マンチャの男」のせりふを引き合いに出して、非公開の理由としたが、説明が足りない。公開されている他の審議会にも所属している再生会議の委員は少なくないはずだが、そこでは十分な議論ができないのだろうか。

25日の会見で、池田守男座長代理は「社会全体に協力いただかないと実践は難しい。国民の意見を再生会議が積極的に聞き、こちら側も積極的に提言していく」と述べた。それなら、もっと議論の中身についても、積極的に明らかにする姿勢を示すべきではないか。とりわけ国民全般にとって関心の高い教育問題で、議論のニュアンスや、議論している人の熱意を伝えるには、肉声しかないと考える。

分科会ではいずれ、安倍首相が著書で積極的に提唱した「教育バウチャー(利用券)制度」という、一般にはなじみのない制度や、大学の9月入学といった国民生活に多大な影響を及ぼす制度についても、議論されることになるだろう。そのとき、審議の透明性が確保されているかどうかで、国民の理解や支持に大きな違いが出ると思う。

コメント:

特に理科の教師については入り口・出口の議論と共にどのように教育するかも重要な論点になる気がします


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しんぶん赤旗(2006年10月 4日 付)

記事:

日本学術会議(金沢一郎会長)は三日の総会で、科学者の不正行為を防止するための倫理規範にかんする声明「科学者の行動規範について」を採択しました。

声明は「はじめに」で、「近年わが国では、競争的研究資金等の外部研究資金を獲得する競争の激化や任期制ポストの増加などにともない、研究者は短期間で成果を挙げることが求められる傾向が強まる」など研究環境の大きな変化のなかで、「あらためて科学者の自律性が求められる」と指摘。

その上で、「科学者の行動規範」として科学者個人および科学者コミュニティーが順守すべき倫理規範を「科学者の責任」など十一項目にまとめ、あわせて大学などにたいし倫理綱領などの制定など八項目を列挙して自主的かつすみやかな実施を求めています。

声明の発表にさいし、金沢一郎会長談話では、「専門職としてさらに加えるべき倫理など検討すべき課題は残っている」とのべています。

コメント:

俗人的な問題ではなく構造的な問題な気がします。もちろん個々人の倫理意識の向上は必須ですが、、、


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中日新聞(2006年8月29日 付)

記事:

理工系女性の地位向上は有望な"卵"を増やすことから。埼玉県の国立女性教育会館で三日間の合宿「女子高校生夏の学校」が開かれ、全国から百人を超す生徒が集まった。学年が進むにつれて減少していく理工系志望女性をつなぎ留めようと、学会を横断して懸命の取り組み。果たしてその成果は-。 (吉田薫)

「電池につながれていないのに光るアンテナを作ってみましょう」。女性研究者の指導で半導体の実験に取り組む女子高校生たち。ほとんどが初体験のはんだ付けに苦戦しながら、携帯電話に付ける発光ダイオードの工作を完成させていく。興味に応じてさまざまな実験が用意され、DNAの電気泳動や、音声認識の実験に取り組む生徒もいる。

見本市のようなブースでは、生物、物理、天文、原子力などの学会がそれぞれの魅力をアピール。研究者の説明を熱心に聞く姿が見られた。

一線の研究者、技術者による講演も。たとえば鹿島の天野玲子土木技術部長は「トンネルの現場に女性が入ると山の神が怒るといわれた。それは危険な場所に女性を立ち入らせないためだったり、事故を発生させないよう細心の注意を払おうという精神の表れ。現在、土木の現場で女性だから働けないということはない」と話した。

このイベントは文部科学省と日本学術会議の音頭取りにより、今年が二回目。高校生の反応はどうか。

根岸福さん(近大付属東広島高)は「やると決めた道を積極的にやっている先輩がたくさんいることが分かった」。平川絵理佳さん(佐賀・武雄高)は「あらためて土木分野へ進みたいと思った。でも親の説得をどうするかが一番の問題」。坂本怜子さん(静岡雙葉高)は「無重力を利用した宇宙実験の話が面白かった。でも、問題は受験です」。

学問の魅力はそれなりに伝わったようだが、大学受験や家族の考えといった"現実の壁"も突破しなくてはならない。

イベントの企画委員の一人である大隅典子・東北大教授は「主にスーパーサイエンス校に指定された学校の生徒に声をかけた昨年に比べ、ことしは幅広い層の生徒が集まった。理系の女性が普通の人と同じだということを知ってもらい、理系進学への偏見をなくすことを狙った」と話す。

理系の負の面、たとえば論文を書く困難さ、家庭との両立の難しさは伝わったのか。大隅教授は「大学院生への支援は、金銭的には充実してきたし、子育て支援も進んでいる。男女を集団で比較したとき、性差がある分野は存在する。けれども個人差の方がはるかに大きいことを知ってほしい」と言う。

女性研究者が一生懸命になる背景には、科学界での女性の地位の問題がある。全大学の理学系で、助手は女性が17%を占めるのに、教授は4%にすぎない。絶対数も少ない。工学系の学位取得者に占める女性の割合を国別に比べると、日本は9%なのに、米・独・仏・英・韓はいずれも20%を超す。日本の高校では学年が進むにつれ、女性は文系希望者が増えていくというデータもある。

粂昭苑・熊本大教授は「とにかく女性研究者の数を増やすことが大切。まず科学の面白いところを伝えなくては」と話す。企画委員らは、卵を育てる社会に向けても「理系に女性を」と呼び掛けていくことにしている。

コメント:

男女性差より個人差の方が大きい、本当に知ってもらいたいことですね


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Nikkei net(2006年7月14日 付)

記事:

神戸大工学部の大前伸夫教授(59)が2004年、ダイヤ工具製造法の実験データを捏造(ねつぞう)し、特許出願していた問題で、神戸大は13日、学内の特許出願を担当する連携創造本部の中井哲男教授(57)の主導だったとする調査報告書を発表した。「大学の業績を上げたかった」と説明しているという。神戸大は同日付で中井、大前両教授を訓告、特許の共同出願者の助教授を厳重注意処分とした。

調査委員会によると、中井、大前両教授と助教授の3人は04年4月、「レーザーをダイヤモンドに照射して表面の性質を変えることで、鉄を高精度に切削できるダイヤモンド工具の製造法を発明した」とする特許を出願。その際に添付した8種類のうち5種類は、実験を行わずに捏造したデータだった。

調査委に対し、大前教授は「中井教授に削除を求めたが、止められなかった」などと説明。中井教授も自ら主導したことを認め、「大学の業績を上げるためにやった。やり過ぎだったと反省している」と釈明したという。中井教授は民間企業の研究者出身。前身の連携創造センター時代から産学連携部門の責任者を務めている。

同工法開発を含む研究は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択され、今年1月に助成金4500万円が交付された。今回の調査で「助成金獲得が特許出願の狙いではなかった」ことが判明したため、大学側が自主返還する予定はないという。

コメント:

助成金獲得目的と思われても仕方ないです。


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